サクセス、ロマンス、コミカル、クライムといった物語の要素を面白いまま的確に省略してごちゃ混ぜにした、飽きの来ない総天然色ドタバタ娯楽映画。
非常に愉快な作品でありながら、映画史の文脈の一部を題材としている故「現代映画との比較」的目線が介入する事へ神経を使ったストーリーテリングになっている。
『活動写真』が『映画』へと変化しつつあると示された中で迎える「継ぎ接ぎ」だらけのクライマックスには、芸術や娯楽が観る者との間に抱える普遍的な葛藤が解きほぐされていく様な感慨があった。
だが一番素晴らしいのは、そういった作品の主張性なんて一切無視しても【100%】、余す事なく、全てを楽しめる作品に仕上げようとする意識…作品全体から感じる温かさであった。