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5時から7時までのクレオのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

言わずと知れたアニエス・ヴァルダの代表作にして、ヌーヴェルヴァーグを代表する一作として知られる名画。主人公のクレオがガン検査の結果を知るまでの2時間。

時間ごとに細かく章分けをしたり、カット割がフェティッシュでジャンプカットやアフレコを多用したり、映画人のカメオ出演があったりと、いかにもヌーヴェルヴァーグの映画。

街中でゲリラ撮影しているため、カメラの方を見る人々がたくさんいるのだが、それがクレオを見ているようにも見えるのが実に面白い。これが彼女の被害妄想を具現化したかのようでもあり、物語の不安に拍車をかける。

しかし、鏡の使い方や猫の湯たんぽなど、作り手が女性であるが故の小道具への感性が隅々まで見られる。特に真っ白なクレオの部屋の様子は、「ひなぎく」の主人公たちの部屋に匹敵するレベル。監督が女性であることによる感覚的な違いはこういうところにあると思う。

車がトンネルに入ったり、年寄りが不安を煽ったりと、全体的に死について想起させる要素が多々あるが、最後に現れる男が主人公に生命力をもたらす様は感動的。戦争で「死」を目撃する兵士だからこその力強さだろう。
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