夢生

シシリアン・ゴースト・ストーリーの夢生のレビュー・感想・評価

4.2
物語の根底にあるものは、シチリアで起った、凄惨で残忍な誘拐殺人事件で、その事件を語り継ぐためにはストレートには表現しがたく、ギリシャ神話の乙女座の話とシンクロさせたような、ファンタジーを盛り込んだおとぎ話に昇華されていたと思います。
全体を包み込むウエットで濁りのある暗黒な情景や、水=星=森など、自然の色や、音や、匂いまで感じさせる映像は詩的で叙情的で、恐ろしくも美しい...
幽霊と言うと、おどろおどろしい妖気を感じるけれど、ゴーストと言い換えるだけで、神秘的に思えてしまいます。

友人の語る意味深な言葉。
夢と現実のチャネリングで現れるフクロウ。
星座が散りばめられた夢を紡ぐ愛の手紙や神殿。
メッセージを持つライトの点滅,。
『生』と『死』をつなぐ意味を持ち、全てが絡み合っているのだと鑑賞後に改めて感じました。

好き嫌いははっきり分かれる作品だと思うけれど、
もう一度観てみたいと思わせる作品でした。
夢生

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