ろ

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのろのレビュー・感想・評価

5.0

「みんなの投票により、学年で最も無口な子が決まりました。」
集会で読み上げられた自分の名前、起こらない拍手。
中学卒業を目前に控えたケイラは、失望に顔を歪ませる・・・

「自分らしく過ごすためには・・・」「自信を持つためには・・・」
誰かの役に立てたらって、ケイラはYouTubeに動画をアップしていく。
でも本当は、会話に入りたいのに入れない自分、ありのままをさらけ出せずにいる自分を励ますための、動画だったんだよね。

自分を疎ましく思っている女の子に手紙を渡すシミュレーションをしたり、初対面の高校生を想像しながら挨拶の練習をしたりする。
緊張に押しつぶされそうになりながら、周りに合わせて笑ってみたり。
電話中、落ち着かなくてウロウロしたり。
彼女はいつも、自分を奮い立たせながら精一杯頑張っていた。

「人はある一面しか見ていない。みんな、学校と家で見せる顔は違うんだ」
楽しくて面白い自分を学校でなかなか出せないケイラは、週末の自分も見てほしいと願っている。

でもそれはきっと、ケイラだけじゃないはずだ。
SNSで素敵に見えるあの子だって、本当は劣等感を隠し持っているかもしれないし、寂しさを紛らわしたいだけなのかもしれない。幸せなように見えて、実は思い切り不幸かもしれない。学校で見せる顔も、SNSに映る顔も、どれも本当のその人じゃないかもしれない。

人の顔色を窺ったり左右されたりしたくない。
ありのままの自分でいたい。
ケイラはその方法を模索し続ける。
もうそれだけで充分、彼女はステキな女性だった。
ろ