ギズモX

ピラニアのギズモXのレビュー・感想・評価

ピラニア(1978年製作の映画)
3.9
70年代にB級映画を大量生産したニューワールド・ピクチャーズのパニック映画。
当時のB級映画はドライブインシアターやグラインドハウスをメインに上映していたが『ジョーズ』が登場したことでみんな映画館に行くようになり、そういった場所に人が入らなくなってしまった。
なので、
「じゃあ俺達も"ジョーズ"やってやろうじゃねえか!」
ということで『ジョーズ』を盛大にパクった作品だ。

軍が秘密裏で研究していたピラニアが、ひょんなことから川に解き放たれて人々を襲いまくる物語。
脚本にまとまりがあり、B級映画特有の破天荒さもかなり抑え目。
モンスターも小さいピラニアだから、リゾートや海ではなくどこにでもある山の川で撮影できるし、血糊出して溺れながらワーキャーしてるだけでいい。
ここでもコーマンお得意の節約術がフル活用である。

こういうパニックものの登場人物は、基本的に惨劇を広めてしまう側と惨劇と止める側で二種類に分かれる。
例えば『ジョーズ』では、海開きをしてジョーズの犠牲者を増やしてしまった市長と、ジョーズの侵攻を止めて最後に倒すロイシャイダーで分かれる感じ。
モンスターパニックものによくあるパターンだが、この作品は全員が惨劇を広めてしまう側にいる。
あれよあれよと負の連鎖が続いていくパターン。
ラストも『ジョーズ』と違って後味が悪い。
ガワはパチモンだが中身は正統派のパニックものだ。

監督はジョーダンテ。
この映画によってダンテはスピルバーグにスカウトされ、あの『グレムリン』や『インナースペース』などの代表作を手掛けることになる。

B級映画特有のハチャメチャが好きな人は物足りなさを感じるがとても面白い作品です。
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