ドント

八つのドントのレビュー・感想・評価

八つ(2016年製作の映画)
4.1
 2016年。素晴らしいと安易に書いちゃっていいものかわからないけど素晴らしかった。ある女性の「8」に関わる朝のルーティンを執拗に、長回しで捉える80分一本勝負。
 主人公の執拗さ拘泥強迫観念つらさしんどさ苦しさを全編ワンカットで撮影しておりその手法がこの内容テーマ物語性時間性に合致していてまったくもって長回しが長回しとしてきちんとその性能のひとつを十全に発揮していてオッいっちょ長回しやっとくかくらいの感じで安直に長回しを挿入しがちな近年の映画はその遊び心はともかくとしてちょっとこの『八つ』観てごらんなさいよと言いたくなる真面目さ真摯さがあった。
 自動翻訳でオタンチンな字幕ながら台詞は少ないのでさほど気にならないしそもそも登場人物は声のみも含めて全部で5人で舞台は一室のみ台詞は必要最小限と言ってよくそろそろお分かりの通り超低予算映画ながら「まぁ低予算だし許してね」な逃げも隠れもなく撮影もルーティンの朝を撮りながら惰性に陥ることのない見事さでつまりはほぼ映像のみで語りきっている堂々たる映画だと思った。 
 しんどい時に観ると心が千々に乱れて深夜まで眠れなくなる恐れがあるのでメンタルの弱っている人殊にこの疫病流行下で手洗いや消毒に神経質になっておられる人には刺激が強すぎるかもしれぬというか俺がそうでありかなりグサグサハートをやられてしまった。いまかなり疲労の局地である。ここまでがっぷり四つで描かれたら白旗を上げざるを得ない。疲れた。
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