へたれ

旅のおわり世界のはじまりのへたれのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
3.6
良かったとこ1 わざとらしいほどの異国さ
前田敦子が歩くと誰もが同じタイミングで振り返ったり、バスの中で着替えてると必ず誰かが通りかかって中を見たり、モブキャラのように異国の不穏さを醸し出す中盤までの人々が不穏で良かった。何度か出てくるバザールも、生活感よりは迷宮感が強くて、言葉が通じない国に旅した感覚を的確に表していた。

良かったとこ2 キャスティングの妙
終始誰とも目を合わさず、TV撮影の顔になってもバラエティ的な面白さに欠けるため上滑りするだけの前田敦子に対し、終始気だるい感じで仕事をこなす染谷将太、加瀬亮、榎本時生というキャスティングが良かった。おかげで、異国に加えてスタッフからも孤立するという構図が分かりやすかった。

ダメだったとこ ラストの歌唱力
ラストシーンは、心の底から湧き出た歌によって自分がやりたいことを取り戻そうとしている感動的な場面、と記号的には理解した。ただ、まともに声楽をやっているようには思えない前田敦子の歌唱力のせいで、心から歌っても結局その程度のレベルにしかなれない才能のくせに外国まで来て自分探しを始めてしまう中途半端なタレント、という色合いがついてしまい、非常に飲み込みづらい。せめてあまり歌唱力が求められない歌にしておけば良かったのに。
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