くわまんG

イップ・マン外伝 マスターZのくわまんGのレビュー・感想・評価

4.5
張天志、仕事で正道を行く者也ぃいいい!

みどころ:
漢が生きがいを見つける物語
質も量も最高のアクション
豪華脇役が全員キャラ立ち
M.チャンのキレた体術
白粥と揚げパン

あらすじ:
詠春拳頂上決戦で葉問に敗れた張天志。武術界から身を引き小さな雑貨屋の店主に。息子と二人で慎ましくも平和な生活。
ある日、極道がキャバ嬢をカモろうとしている場面に遭遇したので成敗。逆上した極道は天志の家を放火。命からがら脱出したが帰る場所がない。そこへキャバ嬢登場して曰く「店のオーナーが兄なので、助けてくれたお礼に仕事と住居を斡旋します。」と。
かくて住み込みの黒服となった天志。ドラッグの横行に治安維持部隊の横暴、歓楽街は生き地獄。それでも前向きに生きる夜蝶たちに触れ、天志の中で何かが変わろうとしていた……。

いや素晴らしい。本編の100倍感動した。最初から聖人過ぎて(そこがまた眉唾)全く成長がなかった葉問と違って、天志はかなり人間臭い。なんと、詠春拳(仕事)をしていたのは生活費のためだったのです。

類い稀なる才能を備えてはいても、人生うまくいかないのを他人や社会のせいにする天志の姿勢は、凡人そのもの。正義感はあるけど現実と折り合いがつかず、プライドを捨てられなかったり、諦めがちでウジウジしたり、助言を素直に聞けなかったりと、普通にダメ男。

そんな天志を奮起させるのが、キャバ嬢のジュリア。「やりたい仕事ができて、それで人々を笑顔にできるから私は幸せ。」とぐうの音も出ない正論を、逃げ道を残しつつ優しく諭すように言って聞かせます。懐が深くて聞き上手なジュリア、キャバ嬢の鑑です…笑。

ジュリアの兄フーの献身と、父の復活を望む息子の応援にも後押しされ、ようやく詠春拳をライフワークにする覚悟を決める天志。仕事に心血注ぐ漢の後ろ姿は、やはりカッコイイものです。

また、敵もなかなかに魅力的。本作の敵は、悪党と黒幕の二段構えですが、ことさら人間味を感じたのは悪党のキット。裏社会を牛耳る長楽グループのNo.2でありながら、組長で人格者な姉クワンへの劣等感が極まっており、自己顕示しか頭に無い迷惑なボンボン。

一方、崇高な志のため自分にも他人にも厳格なクワンも、弟にはどうしても甘くなってしまう。結局見放すことができず、腕一本で手打ちにし、再起までサポートする親心的情け深さが泣かせる。その甲斐あって、尻拭かれっぱなしの愚弟にも最後は改心の兆しが見えた。悪事を働こうとするたびに、なくなった右腕が戒めることでしょう。

VS大量雑魚、VSムエタイ、VS女剣士、VSプロレスラーとバリエーション豊かなアクションは、後半に進むほど質も量も増。パタパタパンチが一掃され、ワイヤーも必要最小限で言うことなし。高HPで鬼火力なラスボス戦は超白熱。おめおめ→サクッ、の流れもいいね♪笑

脚光を浴びたいからではなく、悪者を倒すために立ち上がった張天志。正道を成すことに目覚めた彼の詠春拳は、もはや天下無双なのであります。

ていうか、食い扶持でしかなかった拳法で葉問と一手差ってことは、覚醒張天志なら葉問なんか雑魚やん?もう詠春拳最強は、張天志に決まりやん??異論は認めへんやん!!!なのであります。


以下備忘録です。


ジュリア「お立ち台で歌えるだけで、私は幸せなのよ。」
天志「フンッ、君は簡単に幸せになれるんだな(皮肉交じり)。」
ジュリア「幸せは単純なものよ?やりたくて仕方ないことをやって、正しい道を進むだけだもの。やりたいことからは、離れられないでしょう?」
天志「そんなことはない。離れることもある。」
ジュリア「あったとしても、それはまた戻ってくるための離脱よ。一時の怒りで離れても、必ず戻ってくるものよ。」

フォン「また何も入ってない粥と揚げパンが食べたいよ。」

フー「母親にもぶたれたことないのに!」