でしょうかな

ブラック・クランズマンのでしょうかなのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.7
コロラドスプリングスで初の黒人警官となったロンは、同僚からの侮辱にウンザリしていたが、ある日ブラックパンサーの集会に潜入したことが評価され情報部に入る。そして彼は、いきなりKKKに入会してしまう。

人種問題を描いた作品だが、本作は比較的分かりやすいエンタメだなと感じた。黒人が白人至上主義団体に潜入するというぶっ飛んだ実話が元ネタで面白くならないはずはない。…まあ率直に言えば、実際に潜入するユダヤ人の先輩にかなり助けられてるとは思うけど。ただ、当然登場人物の立場は簡単に割り切れるものではない。主人公は黒人解放運動の女性と親しくなるが、彼女は差別的な警察を嫌っているし、主人公も白人との武力闘争みたいなものにはあまり賛同していない。相棒のユダヤ人警官は、白人でありながらKKKにとっては差別対象であり、潜入捜査の過程で自分のアイデンティティを捉え直す。後半、KKKとブラックパンサーを対比するような場面といい、全体的にシニカルな視線が向けられているように思う。そうした複雑さをしっかり描きながら、潜入捜査についてはきっちり胸が空くような落ちを付けており、個人的には面白かった。
難点としては中盤がややダレる。なんでかなと考えてみると、確かに黒人の潜入捜査ではあるけれど、実際にメンバーと会っているのが白人だからかな、と。微妙に緊張感が無い。難しいところではあるけど。
最後、シャーロッツビルの事件映像を挿入したのは、正直ちょっとズルいような気もするが、しかし白人至上主義が未だに一定の勢力を保っている現在を直視しろというメッセージなのだろう。
でしょうかな

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