うさふわ

存在のない子供たちのうさふわのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
5.0
存在のない子供たちの存在。
貧困、虐待、盗み、人身売買、児童婚、レイプ、麻薬…これらが日常的に行われるシリア難民の生活環境。推定年齢12歳の主人公ゼインは、出生の届出もされていないため自らの誕生日や正確な年齢すらもわからない。親からは労働力としか見なされず、意志や希望が通ることもない。親もそういうサイクルの中で生きてきたのだ。
産まれたことを悔やみ、産んだ親を恨み、生きる価値が見出せないけど、幸か不幸か、それでも心臓は動き肺は呼吸を続ける。いくら希望が挫かれても、12歳の少年は"今"を生き続けるしかないのである。

いつも通り感想を書くだけの他人事では終わらせたくない難民危機。映画は2時間で終わるけど彼らの現実は続いている。
ゼインくんの一家は撮影後、ノルウェーへの移住が認められたそう。
この映画がもっと広まることを願って
うさふわ

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