うさふわ

CLIMAX クライマックスのうさふわのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
4.4
赤、赤、赤、赤…緑
人間の血に流れる獰猛な生、果ての死。
全身から湧き上がり体現する、生々しい欲望の地獄絵図。

ダンス、音楽、ファッション、アート、酒、ドラッグ、セックス…
嫉妬、独裁、暴力、強姦、自傷、堕胎…

全ての倫理の境界を超え、
欲望に渦巻く獣達の狂宴。
子宮に響く四つ打ちのエレクトロと
LSDの快楽が地獄の狂気を抉り出す。

出演ダンサーへの取材から始まり、ダンスホールで欲望にまみれた取り留めもない会話が続く。内容はR18指定だが、監督曰く
「思春期の子供たちに向け、アルコールがいかに恐ろしいかを啓蒙するための映画」。
(笑)
フランスが誇る鬼才ギャスパー・ノエの勢いよく叩きつけた狂気への挑戦状に手も足も、グウの音も出なかった。

サスペリア、トレインスポッティング、スカーフェイス、アイズワイドシャット、時計仕掛けのオレンジ…これらの狂気も真っ青の、狂気の向こう側へ誘われる。
無抵抗に酩酊する、あまりにドープで危険な初体験。すごい、こんなのはじめて…。

ひたすら踊り欲望に狂う。
アチラ側から抜け出せなくなる恐怖。

ずっと公開を楽しみにしてた本作。
Daft PunkやAphex Twinをはじめとするエレクトロが最高の快楽。脳汁ドバドバ。
特にメインのダンスで使用されているセルローヌの『Supernature』は脳が蝕まれる中毒性を孕んだ危険ドラッグ。
揺れる視界と目まぐるしいカメラワークに三半規管をかき乱され、体調が万全でなかった事もあり鑑賞中常備してる酔い止めを投薬。
観賞後の疲労感がハンパなく、一切人にはオススメできないけど魅力を感じる事実をひた隠しにできない、理性と本能の拮抗する人間のサガを見事に昇華してくれた。

あー、どうしよう、また観たくなって震えちゃう。なんてこんな事、日本では口が裂けても言えない映画。
うさふわ

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