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アースクエイクバードのSUIのレビュー・感想・評価

アースクエイクバード(2019年製作の映画)
1.0
台詞や展開など、既存のテキストを切り貼りしたみたいで、オリジナリティもなければリアリティもない。
そして役者の芝居もひどい。

ルーシーは日本語ネイティブじゃないからしょうがないにしても、禎司は見るに堪えない。
ただ英語で喋るシーンが多いのが唯一の救い。英語を喋れない自分には、英語のセリフから繊細なニュアンスは汲みとれないからね。
そういう意味では逆にネイティブではない(というか日本と縁すらない)日本語であそこまで演じきったルーシー役のアリシア・ヴィキャンデルの役者魂はえげつないなと改めて感心してしまう。
一方、禎司を演じた小林直己は俳優ではなくてエグザイルのパフォーマーだ。3代目のリーダーだ。それを知っていながら今作を視聴したのだから文句を言うのはお門違いというもの。
次から彼の作品は見ないだけのことだ…。

ルーシーが死に魅入られているという設定は面白いけど、思わせぶりなだけで本筋にはそれほど関連性はないように感じる。
しかも禎司が何を考えていたのかも、リリーが殺されなければならなかった理由も判然としない。
さらには日本といえば地震! 混浴!みたいな固定概念がひどい。
まあそれがタイトルの由来にもなっているんだけど、そもそも地震の直後に鳴くアースクエイクバードとか、そんな鳴き声を聞いたこともなければ、そんなオシャレな言説も聞いたことがない。
そして残念なことに、この渾身のタイトルすらストーリーとは全く関係がない。
まるでシロウトが作ったような物語。

舞台設定の1989年というのも、その時代にした必要性すら皆無。
あとで調べてみたら、リドリー・スコットが関わっていたんだね。ブラックレインが公開されたのも1989年だもんね。そいうえばTVモニターでブラックレインの映像が無駄に流れてたもんね。
そしてなるほど、前述の偏った固定概念やこの押しつけがましさにもこれで納得がいくというもの…。

ルーシーのキュートさで最後まで見れたけど、映画自体は控えめにいってクソ。
そしてこれで、リドリーの感性は俺の肌に合わないということが決定づけられた記念的作品。
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