Lume

マックイーン:モードの反逆児のLumeのレビュー・感想・評価

4.5
この時期、ファッション系の映画を見たくなるのはなんでかな。メットガラ👗✨の影響?それに合わせて上映されるから?

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彼をより知ったのはジバンシィのデザイナーに就任した時。
オートクチュールのエレガントな「ジバンシィ」のショーに対して、自身の名前を冠にした「アレキサンダーマックイーン」のショーはすごく奇抜。
正反対の美を表現できる人。

これは40歳という若さで自ら命を絶つまでを追ったドキュメンタリー映画。5つに構成された内容はマックイーン本人の当時の映像が多くて新鮮で、没後10年くらい経つのに、なんだかまだいるみたいな感覚でどんどん引き込まれた。しかもnice guy.

色々、感じたことはあるんだけどなんかたくさんありすぎて文章で表すには長すぎる。



たくさんのファッションデザイナーがいる中で、彼ほど自分の人生を形にした人っていないんじゃないかと思う。
人生を音楽で表現する人、絵で表現する人、色々いると思うけど。「感情を表したショーだ」って、トムフォードだったかな。言ってた。

努力してデザイナーになったんじゃなく、やっぱり才能。小さい頃から学校のノートはデザインで溢れてた、って。決して裕福な家庭に育ったわけでも、両親がファッション系の仕事をしてたわけでもなく。でも家族に愛されていた。
失業保険でもらったお金でお洋服作ってショーもやっちゃう。マスコミに取り上げられるのは「失業中に仕事してる、ってバレちゃうからやだ」って苦笑いするお茶目な面も。

だから、なんで死を選んでしまったんだろうか、と。その答えはストーリーを追ってくうちに少しずつ感じられるようになる。


環境と言うよりは彼自身が、すごく深い闇を持ってた。
ゲイ、HIV感染症、
社会や業界からのバッシングと称賛。


ショーの構成も火を使ったり、レイプを連想させるものだったり、人毛を使ったり本物の蛾を使ってみたり。見方によっては反感も買う。それでも彼のショーに出たい!ってモデルさんがいたり、彼の元で働きたいって逆にお金出す人もいて。
デザインのパターンはなし、モデルが身に纏っている生地を潔く切り裂いて、それを待ち針を使って丁寧に縫い合わせて立体的にしていく。
モデルのバッシングもホントの情報じゃないよ、ってメッセージが書かれたTシャツを着てショーの最後に自らランウェイに出る、優しい一面もある。

それが「アレキサンダーマックイーン」


誰も、悪くない


相反するものをこんなにも持ち合わせていたからこそ、うまくいかなかったこともあるんだろうな、って。
自らの死を持って、そこまでもが彼が作り出す人生だったのかな、って。
愛する母の死を追うように、人生を終える。


私には感慨深い内容だったけど、落ちはしなかった。良かった。


そうそう、ナレーションが遠藤憲一さんだったのもなんか良かった。人選good.
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