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孤狼の血 LEVEL2のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.1
鈴木亮平は好きな役者さんだけど、いやーこれは怖い。
上林の何を考えてるのか分からない虚ろな目が、さらにふわーっと焦点を失っていった後で何が起こるんだろうかという緊張感。
笑ってしゃべってたはずなのに気が付くと目が座ってる。
一寸先の行動が読めない怖さ。それも「怒られるのかも」どころじゃない。普通に殺されるだけならまだマシじゃないかと思う程のヤバさがすごい。
通常こういう悪のカリスマ的な役ってどこかに愛すべきポイントがあるはずなのに、この上林には全くそれが無い。なのに目を離せない引力がある。
私の好きな好青年な鈴木亮平のエッセンスを探してもどこにも無かった。

上林の圧倒的な存在感に比べたら日岡も押され気味。
でもその格の違いがガミさんの大きさを感じさせるようになっているのだと思う。原作はあと2冊残っているわけで、日岡はまだ成長途中なのだ。

前作のラストは原作の1作目からかなり大きく変わってしまっており、今作は原作2作目の世界線に引き戻すためのオリジナルストーリーだと聞いた。
確かに原作2作目は地方の駐在所に飛ばされた日岡の話なのだが、鈴木亮平があまりにも強烈すぎて原作2作目、3作目に出てくるメインのヤクザ役の人達大丈夫かしら…と余計な心配をしたくなる。

また村上虹郎が非常に良くて、拗ねて強がったり、姉に甘えたり、怯えて震えたり、ここではない所に行きたいと遠くを見る表情が母性本能をくすぐるし、無事には済むまいという予感と、それでも何とか無事でいて欲しいと祈る気持ちで苦しくなる。
原作には無かった(と思う)、正義とは何か、日岡がやっていることは正義なのか、在日韓国人の生きづらさなどのテーマがチンタという愛すべきキャラクターを通じて際立っていったように思う。

西野七瀬もぎこちない演技がぶっきらぼうでスレたママ(ママにはちょっと若すぎるけど)には良く合っていて、この役ははまり役ではないか。


以下その他ネタバレあります。
・上林組の構成員のみんなは怖くないのかしら?良く平気で側にいられるな。ライターの火が遅い程度のことでも指詰めさせられそう。
・オリジナルとはいえ、日岡もあれだけド派手なことをやっておいて駐在所に飛ばされるだけでは済まんのではないかとはちょっと思う。けど映画だからド派手で良い。
・日岡ちょっと不死身過ぎない?
・中村梅雀には完全にやられた。この定年間際の相棒やその妻が無残に殺されるんじゃないかと心配した時間を返せ
・「難病の子を亡くした」設定だけでコロっと同情してしまう自分のチョロさ
・でも一応一瞬だけ怪しいとは思ったんよ。ずっと公安畑の人があんな人情派デカなわけないわなとは思ったのに!
・タコ飯が美味しそう
・殺した姐さんの犬を溺愛する毎熊克哉が可愛いし、さすがの上林もそこは見過ごすのね
・チンタが殺された時、頭部に一発で済んで良かった…とむしろ安堵
・音尾琢真が生きて業界にいたこともびっくりだけど、彼は貴重な笑い処としてこれからも色々欠損しつつも無事生き残って欲しい
・西野七瀬は日岡の抱擁を受け入れるのではなく、本気で家から放り出してほしかった。バットフルスイングで殴ってもいいぐらいだ。
・日岡が肝心の尾谷組からも全然信頼されていない という展開も良かった。
・上林がかたせ梨乃を射殺した時になぜか爽快感
・ネチネチした滝藤賢一は本当に最高
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