ひでやん

孤狼の血 LEVEL2のひでやんのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.0
受け継がれた意志。

前作から3年後、長きにわたる広島仁正会と尾谷組の抗争は手打ちとなり、休戦状態の中で五十子会の残党、上林が刑務所から出所する今作は、鈴木亮平演じる上林がヤバ過ぎる。檻から放たれた狂犬で、Level2だけあって暴力描写が前作よりレベルアップ。

上林にとって、自身に向けられる「目」は、蔑み、憐れみ、敵対心といった目だったのだろうか。その目を潰すのなら上林組の構成員たちは、彼にどんな目を向けたのだろう。前作はヤクザも刑事も極悪非道だったが、どこか人間味が残っていた。上林の残虐性はここまでくるとヤクザではなく、人間味の無い殺人鬼に見えた。そんな殺人鬼が人を束ねられるのか、こんな狂人に人はついていけるのかと思ったので、前作を超えられず。

昭和から平成に移り変わっていく時代の中で、五十子会は土地の売買などのビジネスで金儲けをする組織に成り下がり、牢屋の中で昭和という時を止められた上林が、牙を抜かれた組織に牙を剥く。昭和を捨てた吉田鋼太郎のヘタレぶりがハマってた。それにしても日岡、あんた煙草吸い過ぎ。出るたんびに吸ってんだもん。

チンタを演じた村上虹郎が良かった。忠誠を誓い、信頼を築いても上林と対峙すると蛇に睨まれているような怖さがあり、雨のシーンが悲しすぎた。オヤジの仇を取ろうとする上林に対し、一ノ瀬(江口洋介)不在の尾谷組がなんか薄い。今作は刑事VSヤクザというより、日岡VS上林の一騎討ち。メインとなるこの死闘が濃ゆい。あんたら不死身か笑。

相棒のどんでん返しが意外だった。上層部はクソ野郎ばかりだな。前作のラストカットに痺れたが、今作の終わり方は微妙。
ひでやん

ひでやん