もるがな

GODZILLA 星を喰う者のもるがなのネタバレレビュー・内容・結末

GODZILLA 星を喰う者(2018年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

天を貫き、時空間を掻き乱し、満を持して現れた黄金の終焉ギドラ。人智を超えたその姿は神々しく、否が応でも観客の期待は最高潮に。第1作、第2作と破壊の限りを尽くし、人類に絶望感を植えつけたゴジラに対するギドラの攻撃とは……!







甘 噛 み




ざっけんなよオラァ!



一方その頃、セクロスにやってきた原住民の娘をその場でチェンジし、別の娘とセクロスに勤しむというまさかのデリヘルプレイをかました無能主人公は、急遽発足した新興宗教「櫻井教」による教祖櫻井様の櫻井ボイスによって、謎のメンタルクリニックを受けていた。



……いや!いやいや!流石にこれで終わりというわけにはいかないだろう……まだ何か、あと一つ何かがあるはず……。



怒りや恨みはここで終わりにするとばかりに、ヒロインの遺体を抱えた主人公は蒼穹を駆け抜ける!眼前には憎きゴジラ!悪いのは全て文明なのだ!



かくして人類の業と自身の犯した罪を背負い、贖罪の羊となった主人公は、破壊の化身ゴジラによって哀れにも熱線放射でハエのように焼き殺されました。ちゃんちゃん。



あれだけ怒りはダメだと言いながら、まさかそれを観客に植え付けるとは。鑑賞後、気づいたらゴレイヌになっていた。えげつねェな……。



冗談はここまでにして、この3作目は賛否両論の出来である。確かにやりたいことは伝わってきたし、話の筋としても一貫性はあるのだが、イコールそれが面白さに繋がったとは言い難く、その結末は既視感バリバリのセカイ系の焼き直しである。どこまでもベターでベストとは程遠い。俗に言う怪獣プロレスを楽しむような怪獣映画ではなく、第1作、第2作目にギリギリあったSFガジェットによるケレン味も、本作では何も感じない。SF映画として見れなくもないのだが、それにしてはSF映画につきものの「革新性」がこの映画にはまるでないのだ。導き出された結論は数多ある名作が通ってきた道に過ぎず、そこに目新しさはない。辻褄合わせの印象しか受けないのだ。

ある種のサイクル、謂わば完璧に構築したシステムには一個人では抗えず、残された道は個人での決着しかない。ただ、そんな当たり前の結論を見たいがために、3作も追いかけてきたわけではないのだ。三つ巴の怪獣バトルまでは期待はしなかったものの、あれだけ神のごとき上位存在として扱われてきたギドラの描写がまとわりついての甘噛みとは泣けてくる。ギャップがあまりにもひどい。

途中の展開も現実世界でのゴジラvsギドラ、精神世界でのモスラvsギドラになるのかと思って期待で腰を浮かしかけたが、頼みの綱のモスラは共演NGのごときシルエットのみの登場で、無敵バリアが剥がされた後のギドラは瞬殺である。ゾーマ相手に光の玉を使ったらいきなりエンディングに突入したかのような唐突感だった。

散々disったが、細部を見れば面白い部分はあり、死を先取りしながらの宇宙船爆破などは残酷極まりない。そうした小ネタが面白いだけに、見せ方をもう少し工夫して欲しかった。観客が求めたジャンクな味を拒否して高級懐石を作ろうとして、間違えてドブ川のザリガニを泥抜きせずに使ったような、そんな後味の悪さだけが残った映画だった。それなりにまとめただけにオチの凡庸さが際立っている。最初から色々と間違えていた、というのがメタレベルで作品に影響したのは笑うに笑えない。これだけいいアイデアを詰め込みながらこの出来はないだろうという失望感が強い。上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき思想!!!
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