#twcn
最初に言っておきますけど、私はティモシー・シャラメが大好きです。
ちょっと危ないファンです。
2017年社会現象化した「Call me by your name」で一躍スターになったティモシー・シャラメの新作、ということで多くの映画祭で上映され、各宣伝媒体にも大きく顔を出し、盛り上がっておりました。
ティモシー・シャラメが主演で「Beautiful Boy」って・・・そのまんまやん!
製作は比較的現場の自由なAmazon studio、そして信頼の置けるプランB。
監督は「オーバー・ザ・ブルースカイ」の人。
この映画、ひょっとして賞獲りまくったりでもしたら、ファントムフィルムさん頑張ってティミー召喚するかも知れへん!と思ってぶっちゃけ空港お迎え貯金すらしてました。
賞レースが始まり、最初は調子良くいっとりました。
ティミーが助演男優賞、スティーヴ・カレルが主演男優賞にノミネートされるなど。
が!
作品賞は?脚本賞は?
賞レース大詰めを迎える頃にはスティーヴ・カレルの名前が消え、ついにオスカーにティミーはノミネートすらされなかった。
憤りと、実はこの映画、別に出来がいいわけではないのでは?という不安が日に日に増していきました。
私は見てない映画について、どれだけ俳優や監督のファンであろうと、楽しみにしてる!おもしろそう!と言えど中身についての安易な賞賛も冷笑もしません。
見ないとわからないから。
見ちゃったねw
つ、伝わるかな?!
まぁ、期待値が高過ぎたって話ですw
端的にこの映画、わかりにくいと思いました。
地味。
ティミーのジャンキーっぷりが弱いですよね。
この人、実際、11歳くらいからアル中で、最後の方は金に困ってポン引きまでしてたわけでしょう?
そこまで書こうよ〜ポン引きのティミー見たいやんか〜。
そのわりに120分もあるんです。
一番リアル!と思ったのは、ガールフレンドの家でご飯食べてて、お手洗いを借りたときに、何気なく置いてあった薬入れを見てすぐ棚を漁り、目当ての処方されたドラッグをパクるとこですね。
こういう本当に簡単なことでこの人はドラッグをやるかやらないか、という大きな選択にいとも簡単に結論を出してしまう人やと思った。
いや、実話が元だし、普通のジャンキーを知らないからアレだけど、映画的見せ方としてこれが正解だと思って作ったのなら、弱すぎる。
これは賞レースで勝てないよ・・・。
「オーバー・ザ・ブルースカイ」を見たときにもわかりづらい、とは思ってまして・・・。
しかもわざわざ名前を出してコカイン、ヘロイン、エクスタシー、LSD、クリスタル・メス(メスカリンではない)まで来てるわけですよ。
当時高校生だったにも関わらず、かなり種類の違うドラッグに手当たり次第手を出してるしお金どうしてたの?
とりわけメスに問題点が置かれている上、ティミーの注射痕を見れば、重度なのは明らかなわけで。
メスは静脈注射摂取以外の方法でも摂取は可能ですが、効きが違うんですね。
だったら歯が綺麗過ぎるし、目も綺麗過ぎるし、顔も綺麗過ぎるし(これは関係ないw)、水も全然飲まないから、ジャンキーに見えな過ぎる、と思いました。
あんなにオレンジジュースを飲むシーンが多いんだから、もっと飲み物や食べ物でaddicte部分は表現できたと思うのね。
でもしてない。
できてないのかは知りませんけど。
どちらかと言うとスティーヴ・カレルの演技と「並外れた支援」が見応えありましたよね。
あの押し黙った感じなのに、ものすごく行動力があるとことか、これは本当のお父様かなりご尽力されたんだろうな、というのがもうビンビンに伝わってきます。
実際自分で試してみる(多分コカイン)とか凄いと思う。
息子が可愛くて、可能性も見出してるから、ドラッグと手を切るだけで彼は幸せに暮らせるはず、と信じてる。
でもね、ティミーはぶっちゃけドラッグから手を引こう、としてるようには微塵も感じられないし、父親が思ってるほど深刻にも考えてないように見えるんですよ。
それだけドラッグは彼の中で「大きな問題ではない」レベルにきてる。
好きな音楽やイラスト、女の子と同じくらいに。
しかも本人は「いや別に今の最悪な気分のまま生きてるよりは、ドラッグやって幸せになった方が健全じゃね?」と すら思ってるように見える。
わかる!わかるよ?!
この世はクソだよ。
生きていくのに辛いことしかないと言ってもいい。
日本で合法なアルコールよりも、大麻の方が依存性は少ないし、健康被害もない。
人間は辛いことがあったとき、立ち向かう人もいれば立ち向かえず、生きていけない人や、何かの力をかりて生きている人もいる。
それが恋人だったりアルコールだったり、運動だったり、心の拠り所は人によってそれぞれです。
ただ、ヘロインやメスとなると話は違ってきます。
(アルコールでも十分問題だと思いますけどね)
劇中にも出てきた通り、メス(アンフェタミン。いわゆる覚醒剤と呼ばれるもの)はわりと早めに脳も心臓もやられて死にます。
依存性は格段に早く高く、クリーンになるには並外れた努力が長期間必要。
彼は若くして依存症になり、保護者の監督下でなんとか立ち直るためにあらゆる方法を試します。
それがことごとく失敗し、同じことの繰り返し。
こういう時、ダメだよダメだよー!やっちゃうのかよー!というドキドキと絶望が伝わってこないんですよね。
ティミーの心情が分からな過ぎるから。
そんな頑張ってきた父親にもティミーだけじゃなくて守らなきゃいけない家族がいて、そこに実害が出てるわけで・・・いくら父子仲が良い!と強調しても、「パパ〜助けて〜」がいつまでも通用しないのは当たり前。
(注:ティミーなら許しちゃうかな?とは思ってますけど?!)
ティミーが歳の離れた弟妹とわちゃわちゃするのほんと楽しいですね。
てかあの子供達可愛すぎますね!
2年で成長してなさすぎですね!
あのエンドロールに出る文字こそ、映画内で表現すべきことだったんじゃないかな?
全部が全部悪いとは言わないし、ティミーのジャンキー演技が破滅的に悪いとは言わない。
ただ、ドラッグ依存症の青年の話を扱った映画として、その核となる部分の見せ方が弱い、というのは致命的だと思いました。
もったいないんですよね・・・。
多分、大きな製作会社でうるさいプロデューサーが付いてたなら「もっと派手に!」とか口出していちいち家族愛とかドラッグの恐怖とかを過剰に訴えたお涙頂戴ものにしそうですけど、そこはプランB。
ブラピはほっといてくれます。
あと「ショート・ターム12」のケイトリン・ディーヴァーがティミーの相手役だったのも良かったです。
ショートターム組みんな頑張ってるよ!
うーん、だったらもっと派手に分かりやすく演出をし過ぎても過剰になって微妙に作品性も作家性も失われる気がする・・・ドラッグとの対峙というよりはやはり家族の話なんかなあ。
これがこの監督の持ち味というしかないのか・・・。
抑えた演出がいいんだよーという人がいるかもしれませんが、ここまで伝わりづらいのは門戸が狭すぎます。
パンフレットでのインタビュー、22歳の普通の青年ティミーが炸裂しており、どんな興奮状態でインタビュー受けたんやw
「12歳の時に見た「ダーク・ナイト」でヒース・レジャーのファンになった」と語っていたのは驚愕ですw
後、この映画関連でティミーが数多くの場所に姿を見せ、細かくプロモーションしているのは本当に偉いと思うし、一番好きなのはTIFFの時のスーツです!
新
日本語字幕:松浦 美奈