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愛がなんだの海のレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
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一人で部屋に居ると、自分だけの幸福が満ちてくる。あれを好きなひとと共有できたらいいのに、と、わたしの幸福に包まれてる時のあなたの顔が見てみたいと、思うけれど、でもきっと本当にそれは、いつも、難しいんだと思う。何度車の中で一人で泣きながら帰っただろうか、その時その時で流れていた歌が一個ずつ全部あなたの色に染まって、おかげでわたしは自分の好きな曲を聴く時いつもあなたのこと思い出してしまう。あなたのことを忘れるために付き合った人とドライブした時、その人「これいい曲だね、好きだな」って言ってくれて、わたしはあなたの車で流れていた音楽のことを思い出しながら「ありがと」って笑った。帰りにやっぱり泣いた。彼と手をつないでも温もりばかり奪われていった、あのときなくした温度はきっと、あなたへのわたしの愛だったんだと思う。大切にしたかった。誰も知ってくれないわたしの夢も未来も。この映画に出てくるひとたち、わたし、全員嫌いだった、大嫌い、本当に嫌い。わたしが一番嫌いなのは、きれいなふりした汚いひとじゃなくて、汚いふりしたきれいなひとだ。わたしは自分でもいやになるくらい見栄っ張りの嘘つきだ。いつも綺麗に見られたいし、本当はどんな方法でもいいからあなたとわたしをぎゅっと縛って離したくないって思ってるけどそんなこと絶対に言わなかったし、あのひとになりたいとか死んでも思わないし、気持ち考えてなかったとか裏表すらないような薄っぺらな嘘はつけない、そんなかっこ悪いことできない、世界で一番好きだと思ったひとにくらい、一番綺麗なわたしを見ていてほしかった。 泣いて後悔して苦しんで死にたくなって何も手につかなくなるほどダメになっていきながら、ちゃんと梅酒を炭酸で割って飲む、この指も手もくちびるも喉も、わたしのだ。わたしたち、もっと賢いよ。何が、「愛がなんだ」だ。
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