ランボーは最後の戦場で完璧な終わりを迎えているじゃんか
スタローンおまえ何のつもりだと
ただ、僕の中でのひとつの可能性として、トイストーリー4のようなアプローチの作品だとしたら評価できるな、と考えておりました
シリーズのテーマ自体は前作で語り切っているので、テーマからキャラクターたちを剥がし、その生き方をこそ描くことで、彼らの能力を生かしながらも彼らのための新たな道を用意して終える、という方向ならアリかも…と
観たら実際近いものでした
一本の映画作品としての出来は置いといて、ランボー5として自分は高く評価したい
必要のない続編ではあるけど、全然ダメだとは思わないね
最後の戦場で、ランボーという人間、ランボーというシリーズの本当の姿とはどんなものなのかをこれ以上ないアプローチで100%再定義して終わらせた、これは間違いない
しかし、その先の物語は無いのかとなると必ずしもそうは言い切れなかった
これまでのランボーは、戦場、彼に対し冷たすぎる社会、これらと対峙することで彼のアイデンティティや物語を成立させてきた
実は被害者としての一面もあるはずなのに虐げられ、捨て駒として扱われる悲哀に満ち、戦いでしか自分の本分は生かされない戦闘マシンとされ、心に傷を負ったまま生き続けなければならない帰還兵
そんな苦しみと対峙し続けることでランボーというシリーズそしてキャラクターは表現されてきた
今作は一味違う
ついに平穏な故郷へ戻り、血縁こそないが家族まで持っているというこれまでとは明らかに状況の違うランボーを描くことで、ようやく、戦場や社会との対峙の必要がない、ひとりの男としてのランボーの物語を語れるんじゃないのだろうかと
最後の戦場の後じゃないとできない方向性だし、最後の戦場で終わっていたら観ることのできなかった物語
もちろん、正直そんなもの別に観たいとは思っていませんでしたが、続きをやるならこうだろう、という意味では全く間違っていない
相手が麻薬組織という点には、観る前こそなんでまたそういう敵を選んでしまったのかと思っていましたが、終わってみれば戦場とは違い少なくとも一般社会では誰しもの共通の敵であり、シリーズの慣例に従い誰かを救出しに行くのであれば、身近な人を攫うのはそういう連中だよね
戦場から離れ、純粋にランボーの人間性を物語の中心に置くことで生まれた影響は様々
まず、一般社会での道徳が描かれました
具体的にいうとガブリエラのオヤジ
もう…考えたくもないわアイツのことは
張り込みジャーナリストさんは若干扱い雑な気がしますが、今もこうして精神的に虐げられている者たちはいるという社会的メッセージを感じなくもない
そして、ランボーをシリーズ比ではこれまでで一番我々に近いところに置いたことで、観客も圧倒的に彼自身への共感が強くなったんじゃないんでしょうか
落ち着いたかと思ったらまた戦場に駆り出されるという流れを繰り返し、大切な人を亡くしたこともあったので、過去作でも当たり前のように感情移入はしていましたが、それでもやっぱり彼は戦場の人間だったわけで、ヒーローと言うには少し憚られる存在だったわけです
しかし、今回のランボーは、牧場を営みながら娘同然の存在もいる男
そんな彼があんな目に遭ったらそりゃこっちだって超かなしいし、怒りゲージもマックスになる
今作のクライマックスは、とてもシンプルにカタルシスを感じ、シリーズで一番気持ちよく観れた気がします
我々に身近となったランボーの戦いは、戦場での大義名分はなく、ビジランテに近い
それでもやはり、彼はベトナム帰還兵であり、グリーンベレーの戦士
文字通り自らの暴力性に蓋をするかのように地下でなんとか平静を保っていましたが、その地下も上手く使い、かつて一作目で行なっていたような罠戦術で戦う
手足を攻撃し動きを止めたり、喉を狙い声を出させなくした後、確実に一発撃ち込んで殺すスタイルは軍人そのものでした
描写こそ最後の戦場の流れを汲むリアルなゴアでしたが、僕の目にはかつての戦闘技術で憎き敵を殲滅するヒーローとして映りましたし、きっと製作陣の狙いもそうだったんだと思う
その意図はオープニングで明らか
シリーズの最後として、アメリカに帰ってきたランボーを誰もが認めるヒーローにして終わらせてやろうと…
彼は最後の血、ラストブラッドを流しながら椅子に腰を落ち着けて、愛する祖国の大地を見渡すのです
エンドロールは本当に胸にくる
自分はこう受け取りました
ランボーをシリーズで観てて好きじゃないとぶっちゃけ微妙なおっさんビジランテムービーとしか思えないかも
ランボーじゃなくてもいい話でもあるんだけど、ランボーでやることに自体に意味のある物語だと思うんです
スタローン、ラストっていうからには本当に終わりにしてくれよ？
まあまた弓引いてる姿見たら燃えるのは間違いないですけども！！！
