緊急通報指令室のオペレーターをしている主人公のところに、誘拐されているという女性からの通報が入る。
普通なら、すぐに各方面に手配して、オペレーションルームも色めき立つと思うのだが、この男以外はこの事件のことも知らないから部屋はシーンとしてるし、本署やほかの部署にも連絡は取るのだが、どの部署もなんだかやる気が感じられない。
対応がダラーっとしていて、ほんとに大丈夫かと思ってしまう。
「もう時間だから、交代したら?」などと言われる始末。
責任を感じて「いや、まだ帰らない」と言う主人公だが、この男自身も前半はなんとなくやる気がない。
実は事情があって警察官としての一線を退いて、ここに回されているのだった。
「セルラー」でもそうだが、電話は実に不安定で、繋がったり繋がらなかったり、途中で切れたりするので、やきもきする。
それに主人公は自分では動くことが出来なくて、電話のみで人を動かして何とかしなくちゃいけないのが、じれったいし、ドキドキする。
電話で人に指示して人体解剖させる「カット/オフ」のじれったさを思い出した。
カメラはオペレーションルームから出ないし、映るのは、ほぼ主人公の顔だけ。
音声のみで話が進行していくのに、半端ない緊張感に目が離せなくなる。
上質のワンシチュエーションものでした。