鍋レモン

THE GUILTY/ギルティの鍋レモンのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
3.9
⚪概要とあらすじ
電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルながらも予測不可能な展開で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだデンマーク製の異色サスペンス。

過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。

⚪キャッチコピーとセリフ
“犯人は、音の中に、潜んでいる”

「約束する」

⚪感想
サスペンス作品。

こういった映像の変わらないワンシチュエーション的な作品は苦手なものが多いけど今作は面白かった。
電話先の映像がないからこそのトリックというか勘違いや先入観みたいなものに騙されて踊らされるのが良かった。

言葉というかほぼ音のみなのにこんなに痛みや悲しみ、苦しみが伝わって来るんだなと。
主人公と少女の声に度々泣きそうになった。

問題がある主人公、同情したり似た境遇を感じて過度に肩入れ、問題解決、主人公の問題も解決的な流れの物語はやや多いけど今作はわざとらしさというか嫌な感じがせず上手く纏まっていた。

音声から怒っている出来事を想像し、見える部分でアスガーの性格やどんな人物なのかを読み取っていくのが凄く面白い。

リメイクするなら私はジョン・トラボルタだと思ってしまったけどジェイク・ギレンホールなら安心だね。演技力鬼だし。

88分と以外とコンパクトにまとめてあるので観やすい。

思っていたよりもエグい感じで来たので他のデンマークの作品も気になるところ。

ヘビがキーワード。

タイトルの罪はどこにかかっているのか考えながら寝ようと思う。



⚪以下ネタバレ



最後に分かるわけだけど主人公は悪事を働いたとはいえ19歳の少年の命を奪ってしまっていて、明日裁判で相棒らが嘘をつきとうせば元いた職場に戻れるという状況。でも1本の電話から自分を見つめ直すという。最後は誰に電話をしてたのだろうか。

アスガーがあそこまで事件に取り組んだのは正義感からか罪の意識からか、贖罪か。
自分の罪が少なからず関わってると私は思う。

「パトリシアによろしくと」って言うけど電話を切った後に「出てったよ」と寂しそうに言うアスガーとそこで映る薬指の指輪が切ない。

誘拐されたイーベン。家に取り残されたマチルダとオリバー。誘拐犯のミケル。
からの
オリバーを殺したイーベン。血だらけになったマチルダとお腹を引き裂かれ息絶えたオリバー。イーベンを精神科病棟へ入れようとしたミケル。
への変化。
正常なのはミケルだが過去の犯罪からそこを信じて貰えなかったのだろう。

ラストのアスガーが電話をかけ光のあるドアを開けるのは正しい選択をしたという比喩に見えた。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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