わたがし

ロケットマンのわたがしのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
5.0
in DOLBY CINEMA
 いやあ最高の映画ですね。本当に最高の映画です。観る前から思ってたけど、音楽に人生を捧げた人間の半生を映画化する上で、その映画をミュージカルにしない理由がないですよね。普通に考えてミュージカルにしますよね。どういう生い立ちでどういう葛藤があったかなんていう情報はウィキペディアにも書いてある。重要なのは、映画にするからにはそれらをどう体感させて、どう感性に訴えるかということ。ピアノが回り狂ったり客が浮いたりしてこその人生の映画化!!最高の映画!!
 そういう感覚がやっぱり『ボヘミアン・ラプソディ』には足りなかったと思うし、フレディ・マーキュリーをいい人に観せたかったからとかどうのこうの言って薬物&セックス描写をうやむやにする感じも『ロケットマン』を観終えた今になって思い返すとむかついてきた。史実を元にドラマ描く上で光の部分だけ描いても輝いてるってわかんないんすよ。闇があるからこそ光がちゃんと輝いて見える、というクソ当たり前のことを今になってしみじみと思う。
 それでもやっぱりデクスター・フレッチャー監督、同じアーティストとしてエルトン・ジョンに共感したり共鳴する視点がほとんどない感じがボヘミアンと同じ。この映画の監督としてエルトン・ジョンというキャラの感情のかなり深いところ、パーソナルな部分を割と丁寧に描きながらも全然共感はしてない感じ。たぶん自分のこと天才とか1ミリも思わない人なんだろうなあ。もしマシュヴォンがデクフレに振らずに自分で撮ってたらもっと近距離のエグみのあるドラマになってたような気がする。
 そしてタロン・エガートン(エジャトン表記ダサくね?)の最高すぎる芝居。この映画が好きな1番の理由。キングスマン2作では特別芝居が上手いとか思わなかったし、運動神経ええのう……ぐらいしか思わなかったのに、この役者開眼っぷりなあ。見れば見るほど表情の皺ひとつひとつに感情の管が宿っているような気がしてきて、クライマックスあたりは顔面がアップになるだけで込み上げてくるものがあった。こういう芝居をしている人にこそ主演男優賞を送るべきだと思いますアカデミー賞さん。本当に本当に役者ってすごい。人間は最高。ブライス・ダラス・ハワードかわいい。

※後記 この後、自分の撮影があまりに険しすぎて生死を彷徨い気が狂い軽く放浪しましたが、ロケットマンをもう2回観ることで無事精神が安定し、再度撮影に臨めるようになりました。ありがとうタロン先輩、デクフレ、そしてエルトン・ジョン!!
わたがし

わたがし