あい

ロケットマンのあいのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.5
Your Songが大好き。
幼い頃にドラマ『イグアナの娘』で初めて耳にして衝撃を受けて、そらで歌えるくらいに大好き。なので、絶対観たいなと思っていた映画。
最近気持ちが落ち込んで自己肯定感が下がってたので、今すぐ見なきゃいけない気がする!と急き立てられるように映画館へ。

うーん…
一言で言うなら、とにかく悲しかった。
本人監修っていうのも尚さら…

印象的だったのは、
Your Songの誕生シーンでエルトンを愛おしげな瞳で見つめるバーニー。
初めて他人からの愛を感じられたシーン。

そのバーニーが書いたシケ込みソングを哀しい瞳で歌うエルトン。
心が通じ合っても、結ばれない悲しさ。

有名になってから父に会いに行ったとき、父からの愛を受ける弟たちの姿を見て、車内でひとり流す涙。
人はいくつになっても、親からの愛を求めずには居られないんだなぁ…

全編通じて一番多幸感があったのは、バーニーと出会って創作活動を始めた頃で、歌手として有名になっていく過程も、金や名声を手に入れるのと反比例して心が空っぽになっていくようで、悲しさがあった…
ロケットマンの詞はその集大成で。
このあたりは、ボヘミアンラプソディーにも通じるものがあったなぁ。

ボヘミアンラプソディー繋がりで行くと、ボヘミアンラプソディーでも、イミテーションゲームでも。
同性愛者の天才がテーマの作品では、心が通じ合っても、結ばれなければ寂しいし、体が結ばれても、心が通っていなければ意味がない。
そんなシーンが多くて、これも悲しさのひとつ。
男女の間でもそうだけど、同性愛者の方はさらに難しいんだろうな…

と、心に刺さるシーンもあったけど、過剰な演出が気になる部分も多く、映画として素直に好き!とはちょっと言い難いかな…
敢えてのチープな演出なんだろうけど、、
あとはポスターなんかで謳ってる、誰からも愛されなかった少年が、世界中で愛される曲を作った奇跡の物語!っていうのも…
バーニーとの出会いが彼の人生を豊かにしたのは間違いないけど、歌手である間に幸せそうな描写ってステージに登場するシーンくらい?で殆ど無く、才能が搾取されてる印象が強くて、、(悪徳マネージャーの登場からは余計に)あんまり美談と思えなかったのも、これをエンタメと割り切って楽しめなかった一因かも。

この映画で学んだこととしては、
バーニーが終始かっこよ過ぎるんだけど、彼が口にする『I love you.』がすごく良くて。誰かに肯定され愛されるって、こんなにも幸せで、心が温かくなることなんだなぁって。性別とか関係なく、大好きな人にはちゃんと気持ちを伝えたいなと思った。
そして、子どもを授かることがあったら、目いっぱいの愛で包んであげたい。
「自分を愛する」には、まず自分を肯定する必要があるし、そのためにはやっぱり、自分は誰かに必要とされている、愛されているって確信が必要なんだなと。親の愛を感じられなかったらそりゃ辛いよな、、。

映画で描かれている彼の半生は悲しいものが多かったけど、今はすっかり再生して幸せそうで、、本当に良かった。
素敵な歌でたくさんの人を幸せにした人だから。

Your Songはやっぱり不朽の名曲で、あれをBGMにエルトンを愛おしげに見つめるバーニーの瞳だけで、涙止まらなかった。
ちょっと辛めのスコアだけど、あのシーンだけで見る価値は十二分にあるはず!

あ、あと今回初めてDolby-Atmosで観たけど、はっきりわかるくらい音響素晴らしかった!立体感?が凄い…!
これは+200円払う価値あるなと思った。
ミュージカルのときにはこれで観るようにしたい!
あい

あい