るる

ロケットマンのるるのネタバレレビュー・内容・結末

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

レンタルDVDで。うっかり2019年映画納めは今作になってしまったのか。

グループセラピーに登場したエルトン、悪魔のようであり、巨大なハートのようでもある、ド派手な衣装で。そのまま歌、回想へ。ミュージカル映画の導入としてワクワクできて良かった。けど。

どうしてもダイジェストに見えてしまって、うーん。『ボヘミアン・ラプソディ』と比べてしまったこともあって、なかなか見方がわからなかった。伝記映画というより、再現ドラマ…いやいや、タロン・エジャトン本人歌唱の渾身のミュージカル映画として見るべき、ゲイが主人公のポジティブなミュージカル映画という意味では画期的…いやどうかな、それにしては各ナンバーがアガりきらない、ちょっと中途半端だな…とか。もやもやがずっと。

特典映像に主要曲のノーカット版が収録されていて、そう、ミュージカル映画として作るなら、こういうのを見たかったんだよ、という気持ちに。未公開シーン、そう、ドラマ映画としてなら、こういう人生の苦味を観たかったんだよ、と。モヤモヤの正体がわかったので、DVDで見れてよかったな。。

グループセラピー、自己開示していくうちにどんどん衣装や虚勢を脱ぎ捨ててリラックスしていく様子は表現手法として面白かったんだけど、トラウマとの対峙シーンについてはわかりやすすぎるというか、そこまで自己分析できてるんだ、でもソレまんまやられてもな、突き抜けることはないな、とむずがゆい気持ちに。

しかし本人がご存命のうちにこれが作られた、それはすごいことだと思う。どう考えたってドラマとして一番エモいのはエルトンとバーニーの関係性で、ここに焦点を当てて付かず離れずのブロマンス物語として描くことだってできたと思う、というか、その方が映画としては面白かったと思う、でもそうさせなかった、これは実話であり、生身の人間が生きていて、いまは別のパートナーと結婚していて、子供たちもいて、その人たちの人生の一端なのだから、そこに過剰に物語を付与することは許さない、先手を打つことで守るべきものを守ったのだと思う。誠実だったと思う。

一番馴染みのある、あの曲がバーニーへのラブソングだと知って、うわー、なんてロマンティックなの、と。黄色いレンガの道を通ってバイバイ、あの歌詞がアメリカからの撤退と重なると知れたことも面白かった、黄色いレンガ、オズの国=アメリカにさようならという意味なのかと、なるほどなあと。

うっとりと恋する相手を見つめるタロン・エジャトンがほんとうにチャーミングで素敵だった。恋愛に身をまかせるあたり可愛い男として描かれていて微笑ましかった。スターを食い潰すもの、その正体はなんなんだろう、と少し考え込んでしまったけれども。

女と結婚するあたり、サラッと流されていたけれど、ボヘミアンラプソディが頭の片隅にあったこともあり、彼女には性愛ではなく、ひょっとすると親愛ですらなく、絶対的理解者としての母性を求めていたのだと、ハッキリ言語化して欲しかった気もする。

エンドロール、本人の写真と比較するあたり、タロン・エジャトンの立場がないのでは、と感じてしまったけれど、キングスマン2で共演した仲だと知っているし、愛と信頼を感じられて良かったかな。

買い物依存症は治っていない、という添書き、愛に満ちた生活をしているのならそれくらいは些末なこと、と微笑ましく感じられたので良かったと思う、実際のところどうなんだかわからないけれど…だってきっとニコラス・ケイジみたいに破産することはないでしょ?と楽観視させるなにか、基本的にはネアカ、という信頼がある…

素直にお幸せにね…という感じ。
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