シネマスナイパーF

凪待ちのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
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凪待ち…なるほどねぇ
津波は全てをダメしたわけじゃなく、時間こそかかったが、新しい海を作った
主人公の人生も同じで、大津波で大事なものをなくし、不幸につきまとわれ続けても、落ち着くところに落ち着くための行動を最後に起こす
凪、すなわち海が穏やかになるその時まで、強く生きていく男たちの物語

いや、そりゃ犯人は最初からバレバレだったさ!
いくらなんでも!


エグい描写は全然ないのに、痛々しすぎて観ていられない
裏切り裏切り裏切り裏切られ裏切られた男
救いに次ぐ救いに比例して不幸を積み重ねていく、それも自分の手で
でも観ている方は感情移入して痛々しさを感じる
香取慎吾だから
いやしかし香取慎吾、生気を感じない目で力なく動く様子が素晴らしく、いざという時はその抜群の体格で説得力のあるパワーを見せる

全員がベストキャスティング
半端ではない実在感
かと思えば、謎の昔の義理の果たし合い展開は急にマジのヤクザもの感

誰が殺したのか?なぜ殺したのか?は実はどうでもいい話
事実、先述したように犯人は予想を超えてこない
ただ、じっくり考えてみると、犯人の人物像にも深みが見えてくるかもしれない
映画で語られる以上の深みを感じさせる人物だらけの非常に贅沢な作品


全編に漂う虚脱感、やりきれなさと、観賞する我々の感じるやりきれなさ、虚脱感が同時に加速していき目を背けたくなる痛々しさ
涙、涙、涙
俺は周りが思っているほどいい男じゃないんだよ…痛いほど気持ちわかる
泣きました
石巻という舞台もまた素晴らしい