茶一郎

ドクター・スリープの茶一郎のレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
4.3
 スティーヴン・キングの無念を晴らす、キング忖度型大超能力バトル映画『ドクター・スリープ』。
 そもそもスタンリー・キューブリック監督による伝説的「スリラー」映画『シャイニング』を無かった事にした同名原作、その原作の映画化であり、『シャイニング』の続編であり、『スティーブンキング's シャイニング』の続編でなければならない、という到底不可能な映像化に自身の作家性を隠し味に添えてお祭り映画にして見せた、監督・脚本・編集のマイク・フラナガンは頭が下がって地面にめり込む勢いです。(長い一文終了)


 「名作の何年後の映画化」、「<過去の名作の物語>がトラウマになっていた」という設定は、『ハロウィン』(2018)から『ターミネーター/ニュー・フェイト』まで、よくある設定でありますが、本作の主人公ダニーも『シャイニング』の呪いのホテルの一見をトラウマとして抱え、奇しくも父親と同じアル中として放浪の身になっています。(ダメな親像を子どもである自分も繰り返してしまう、というのがキングの怖さ!)

 そしてそんなトラウマに支配されながらも、物語とダニーはそんなトラウマの中心である呪いのホテルに向かっていくという、何ともマイク・フラナガン(『オキュラス』は呪いの鏡を買い戻し、ドラマ『ホーンティング・オブ・ヒルハウス』は呪いの元実家に帰省する)的ホラーとトラウマ、そして癒しを織り交ぜた作劇に転んでいきます。


  そしてそして「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」『貞子vs加耶子』理論的展開からのお祭り騒ぎに、これは目が離せない。

 そしてそしてそして、作品全体に通底する「死後の孤独」、死のその先にあるもの、つまりこれはキングとキューブリックの意見の相違に一つの決着をつけるという、やはり無念を晴らす『ドクター・スリープ』。マイク・フラナガンには一生ついていきます。

 キングとキューブリックの喧嘩は動画レビューもしくは沢山の方の文章で!
 https://youtu.be/teKduhoz5YA
茶一郎

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