ドタバタコメディでありながら、自分の人生や生き方への問いかけをさりげなく促してくれる味わい深い作品。
何歳になろうが、リスタートは可能だ、という事を軽やかに伝えてくれる。
目の前にある見えない壁を乗り越えられない3人の男女。そんな大人になれない大人たちが変化していく様をリアルと滑稽さの絶妙なブレンドで描いている事が魅力。
●良かった点
メインキャスト3人の魅力。複雑な三角関係。
タッカー役イーサン・ホークが群を抜いて良い。
落ちぶれた元ミュージシャンという役にピッタリとハマっていた。
中年体型で冴えない感じがありつつも、溢れ出すミュージシャン感。ヒネくれて拗らせてる感じがありつつも、チャーミング。
このアンバランスな魅力はイーサン・ホークにしか出せないと思う。歌声も相変わらずにgood。
主人公アニー役のローズ・バーンは、どこか冴えない部分がありつつもキュートで良かった。ビューティフル。
ダンカン役クリス・オダウドは、自分勝手なオタクのダメな部分をギリギリコミカルに見えるように演じていて巧い。
自分の中のダンカン気質な部分も垣間見えたりして少し痛い、、
このメインキャスト3人のこんがらがった三角関係の設定が面白い。
作品全体を通して、オタクに対しての鋭い批評が含まれているが、その描写がズシっと刺さる。自分の価値観を他人に押し付けたりしていないだろうか?と、自問自答。
アーティストによって産み出された音楽は、アーティスト本人?それともリスナー?どちらのものなのか。という問いかけは、考えさせられる。
●悪かった点
明確な答えは提示されず、全てが丸く収まる結末ではないと思うので、明るく笑える派手なラブコメを期待してると違うかも、、
オタク気質だと、だいぶグサグサっと心に刺さるので心構えが必要かも、、
もし、イーサン・ホークが苦手という人であればオススメはしません、、