ベルサイユ製麺

インパクト・クラッシュのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

インパクト・クラッシュ(2017年製作の映画)
3.5
ファミコンの中期名作ソフト、アイレム社の“スクーン”の実写映画化、では有りません。

鑑賞作品選びのテキトーさには自信が有りますが、流石に自分でコレは選ばないっス。
機雷臭漂う“潜水艦物”。中学生がホームルームで決めたようなタイトル…。この手のヤツはテキトーの向こう側だ!時間を飲み込む魔物!
…と言うことで、続けて脚本の名医・三宅隆太の処方作品であります。ありがてえ!
先生の話によると…
⚫︎インド製の
⚫︎潜水艦映画で
⚫︎インド映画ならではの××のシーンがちゃんとある!
…のだそうだよ。××はカレーを食べるじゃ無いですよ。海軍でカレーは一周回って普通です。

ストーリーの、前提になる話がややこしいのでスーパー要約すると、インドとパキスタンの度重なる衝突、いわゆる第三次印パ戦争を舞台にしたフィクションですが、実在の出来事が元になっているようです。
パキスタン海軍の最強潜水艦ガーズィーがインドのベンガル湾に出航。これを迎え撃つインド軍は“狂虎”シン艦長に潜水艦S21での迎撃を命じます。しかしシンの野郎、すぐキレて先制攻撃とかしたらヤバイという事で、軍の上層部から監視役のアルジュン少佐が同乗することになります…。

…艦長、少佐、乗組員。パキスタン側艦長、パ乗組員。みんなヒゲ!見分けつかんね!…まあ、日本映画見ながらおんなじ事思ってる外国人もいるかもしれないけど。
特別、ストーリーがどうこうって話では無いですね。シン艦長は(一応)故あってタカ派。アルジュン少佐は暴走を止める役割で、作中一番平井堅に似ていました。S21がパキスタン側ガーズィの戦略にまんまとハマり絶望的な状況の中、如何に活路を見出すのか⁈って話です。
潜水艦映画って、ここ10年くらい『ライフ・アクアティック』以外全然見てませんでしたが、シリアスに描くと独特の緊張感ありますね。基本、乗組員達は相手を目視していなくて、攻撃も当たったんだか外れたんだか分からない。部分的には密室スリラー的なニュアンスもあって、見せ方次第でまだまだ面白いもの作れそう。艦内描写ぐらいで済むので、ゾンビ映画の代わりに潜水艦映画バンバン作って欲しい。
…で、今作のことについていえば、めっちゃ普通!と言うことに尽きます。インドならでは演出とかテンポ感ってことは全くなくて(2時間しか無いし)、人間ドラマはまるで70年代の作品のような質感。潜水艦の戦闘シーンはおそらくCGなのですが、可も不可も無しという印象。全体的に落ち着いていて観やすい。
問題の××のシーンですが、まあこんな感じだろうな…。思った通りでした。これに関しては、恐らく自分で見つけたら嬉しくて人に言いたくて堪らなくなるのでしょうが、情報を聴かされてから確認する分には「ふうん…」ってなっちゃいますね。難しいなぁ。個人的な感覚では三宅隆太さんのオススメのスタンスって、“☆5.0位の映画有るからみんな観て!”では無くて、“☆3.5位の作品が埋もれてるからみんな知って!掘って‼︎”って感じだと思う。とっても好ましい☺︎

…という事で、××のシーンが気になって、観るべきか否か悩んでいる方には、「別に観なくても平気」と言っておきます。
そんな事はどうでも良くて、ルックがユニバーサルデザインなインド映画という物に興味シンシンという方にはおススメ出来ると思います。

因みに、ラストに出る字幕によると、ガーズィの沈没(ネタバレ注意←遅い)の理由はパキスタン軍発表ではうっかりミス。真相は不明という事で、今作はインド愛に溢れた希望的創作という事のようです。大方、元放送作家とかの口汚い歴史修正主義の最低の銭ゲバエセ愛国者が考えたお話なのでしょう。『印度国記』とかいうゴミみたいなコピペ本を出してないとか出さないとか…。