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ROMA/ローマのRenのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.5
『ベルファスト』で思い出したので初レビュー。深夜の覚醒し切った頭で観たときの記憶をフラッシュバックさせながら書きます。一部カラー演出などが無い、完全なモノクロ映画。

映画とは映像表現、という根本に立ち返らざるを得ない圧巻の芸術。普通はそんなに尺取らんだろという駐車も謎太極拳師匠も、これが日常だろこれが生活だろと見せつけるように映し出す。
画面に映る全要素にフォーカスを合わせる。超重要な会話をする2人とその奥で上映されている映画を何の躊躇も無く同じ画角に同居させる。どこを見渡しても誰かの日々の営みが息づいていて、監督の体現したい空気感がバンバン伝わってきた。

半自伝的映画であることに間違いは無いのだけど、全編を喪失と再生が貫く普遍的な愛の話にもなっていた。地震、出産、海辺のあわや水難事故、作品を締めるシーンは全て死(を想起させるもの)が絡んでいた印象。
男性陣はまあまあクズ揃い。全裸武術で男性器を振り回したあいつは、その男根で女性の人生も振り回す畜生だった。そんな悲劇が積み重なったラスト、死や喪失を間近で経験した者たちが逆光の中で温もり・愛を感じる場面は、映画史に残る名ショット(メインビジュアルにもなっている)。

これからも残された人の人生は旅のように続くことを予感させる飛行機。キュアロン作品は他『ゼロ・グラビティ』しか観たことないのですが、最終的に強い生のお話に帰着する辺り、やりたいことはずっと変わっていないのかなと感じた。真っ暗な部屋でじっと観てほしい一作。
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