誠実に生きることっていつから馬鹿馬鹿しくなってしまったのだろうか。
七つの大罪をごった煮にしたような史上最悪の総理大臣は、記憶をなくしたことをきっかけに真っ当に政治と向き合おうとする。
「綺麗事だけでは政治は出来ない」というようなセリフも登場するし、汚い金も現れる中、政治についてゼロから学び直して日本を良くするために立ち上がる姿勢は微笑ましくも痛快だった。
三谷監督（や多くの国民）の持つ政治についての疑問や文句を、したり笑いで喜劇に変えたのが目に浮かぶよう。笑わせてもらいながらも、監督もまた誠実に戦っているのだとも思う。
それでは観客はどうか？
自分の理想のために突き進む勇気と決断力を目の当たりにした今こそ、誠実に生き直すチャンス。
たとえ馬鹿馬鹿しくても劇中にはその美しさがあったはずであり、全てのきっかけになった総理大臣への投石と同じ作用がきっとあるはず。
重い腰を上げるのによくある、「人生をやり直したときの自分だと思う」手法。まさにこれ！
劇中の要所や、エンドロールにも流れる陽気なマーチが劇場を去る観客の耳に残り続け、リスタートへの背中を押してくれるだろう。
