shino

ラストレターのshinoのレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
4.4
あーーー好き。めっちゃ好き。わかってたけどわたしはすごい好きな話でした。
頭の先から足の先までとにかく美しく、だけど少しの寂しさとたくさんの郷愁を携えた映画。多くは語らない雰囲気なので、作中の登場人物の気持ちは想像するしかない。考察厨なのでめちゃくちゃこういうの大好きなんですよね。
映像だからこそできる空気の間の置き方とかあるんですよね。この映画はその間の置き方が絶妙に良かった。
すごい好きなんだけど若干物語が噛み合わないところがあって、そこだけはきちんと描写してほしかったな。

豊川悦司はまじで最悪でこんなやつって思うんだけど、豊川悦司のセリフは全て諦念の雰囲気に満ち溢れて、自分が全然特別な何者でもなくてただのクズやろうってのをわかっていて、だからこそあんなこと言えるんだろうな。最低クズのゴミやろうなのに正直彼のセリフが1番心にきた。

わたしは『桐島部活やめるってよ』とか<古典部>シリーズ『クドリャフカの順番』みたいな、物語にほとんど出てこないキャラクターが中心となって渦を巻いて行き、他人の語る口で肉付けされていく話が本当に好きってのもある。他人が勝手に人を肉付けしていき、肉付けしていく人によって印象も変わっていく。今回もそう。
中心人物の描写が足りない、という批判もあるかと思いますが、わたしはこんな感じで良いと思います。
おそらく過去の描写に関しては、撤退的に視聴者を神の視点にさせないのが目的なんじゃないかな。神の視点じゃないから主人公である妹と乙坂が知らないことは知らない。その間の話は豊川悦司しか知らないし、とあることをした理由も本人にしかわからない。だから完全に描写されなかった。

個人的に、すごくすごく卒業生代表の言葉にグッと来てしまった。もし学生時代に、この言葉を贈られたらきっと、一生胸の奥底でわたしを形成する一部分となっていたに違いない。やさしいだけじゃなくて、辛くてどうしようもないときにも寄り添ってくれる言葉。優しさと心強さに溢れた素敵な言葉。
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