ジャン黒糖

ゾンビランド:ダブルタップのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

4.0
前作から10年後、まさか続編が観られるとは。
あれから10年、ジェシー・アイゼンバーグは『ソーシャル・ネットワーク』主演後大ブレイクし、『グランド・イリュージョン』シリーズ、『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』をはじめ様々な映画に出演、エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ、『バードマン』『女王陛下のお気に入り』そして『ラ・ラ・ランド』と、ヒット作・賞レース作品に主演・出演。
いずれも2010年代に欠かせない俳優として大活躍だった。

また、監督のルーベン・フライシャーは前作のあと、ジェシーやエマそれぞれと作品を撮り(『ピザ・ボーイ』と『LAギャングストーリー)、その後『ヴェノム』の監督を務め、脚本のレット・リースとポール・ワーニックのコンビは『デッドプール』シリーズ、ライアン・レイノルズ出演の異色SF『ライフ』などの脚本を務めた。
このように、監督・脚本家もまた、前作成功後、ビッグバジェット映画を含む話題作を手掛けてきた。
(本作のポスターでは監督・脚本家ともに続投にも関わらず上記ビッグバジェット作を手掛けたコトの方を前面に押し出した宣伝となっている…笑)

そんな主要キャスト陣がビル・マーレイ含め続投、監督・脚本コンビも続投で作られた続編。
この10年のキャリアを考えればいくらでも力の入った作品が作れるだろうに、観て安心。全く力が入っていなかった!笑

力が入っていなかった、というと多少語弊があるかもしれないが、前作での成功を受けて続編の企画が動いたというが、この映画のスケールを全く大きく広げようとしていなかったし、アクションも前作より極端にド派手になることもなかった。
ただ、本シリーズにおいてはそれがすごくよかった。

あれから10年経っても相変わらず彼らの打ち立てたルールその32「ささやかなことを楽しむ」に則って、彼ら4人は他人の豪邸に入ってはのうのうと暮らしている。
ここで繰り出されるギャグが相変わらず下劣で笑える。

その一方で、大ブレイクした彼らのキャリア上も、そしてゾンビ世界を生き抜いた物語上もこの10年で培った経験によって、それぞれのアクションシーンに画面の映え方として安定感があった。
そのため、10年ぶりの続編だからといって全く肩ヒジ張らない、かと言ってスターになったからと言って決して驕らずノリノリに演じる本作は、「あぁ!いま自分はゾンビランド観てるんだなぁ!」って安心して観ることができた。
エマ・ストーンは最近真面目な作品ばかりに出演が続いていたので、また『小悪魔はなぜモテる?!』の頃のような、コメディ映画にも出て欲しいなぁと本作を観て思った。

また、本作から登場した新キャラもいい。
特にマディソン役のゾーイ・ドゥイッチによるとにかく頭の悪い、けど憎めないキャラの好演っぷりが最高だった。
ゾンビ化された世界以後では実現し得なかったUberのアイデアが出てくるシーンとか笑ってしまった。

コメディ映画に多く出演しているルーク・ウィルソン演じるアルバカーキと、ドラマ『シリコンバレー』の主演も務めるトーマス・ミドルディッチ演じるフラッグスタッフのコンビも短い出演時間ながら笑えた。
ルーク・ウィルソンはなんなんだろう、あの一見頼しそうな笑顔なんだけど絶対胡散臭い感じ、最高。笑

主演キャスト陣はスター揃いになったし、単純に前作以上にキャストの数が増えた分、キャストで見れば全体的なルックとしては非常にメジャーな作品になった。
それでいて決して世界観を広げずスモールな感じ、これぞゾンビランド。

また10年後に続編があるかはわからないけど、出来れば次の10年でまた成長した彼ら4人の擬似家族物語の続きが観たいなと思った。
次は子供が生まれてるかもしれんし。
オススメです!
ジャン黒糖

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