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グリーンブックのRenのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
素晴らしかった。劇場で観ていなかったのが悔やまれるほど、久しぶりに、とにかく良い映画観た!って感覚になれた。ありがとうNetflix。

まず「分かりやすく面白かった」というのが第一印象。観賞後に議論することで意味の生まれる映画ももちろん素晴らしいけど、直球で真正面から受け止めて面白い映画はやっぱり良い。

個性の全く違う凸凹バディムービーとロードムービーの相性がいいのは言わずもがなで、何か事件が起こる度に2人のピースがハマっていく感覚がとても気持ちいい。
トニーはドクを理不尽な人種差別から守り、ドクはトニーに品性と教養を与える。ピアノが、黒鍵と白鍵を駆使して旋律を奏でる楽器っていうところが素敵。キャッチコピーにある「行こうぜ、相棒。あんたにしかできないことがある。」が全て。

興味深かったのは、単に人種で分断されているだけではなく「黒人同士」でも身分によって差別的視線を受ける描写があること。言い方を選ぶけど、立場的に優位にある白人が黒人を守る話だけになっておらず、教養もあり育ちもいいが社会的に差別されている黒人というドクの立場が生む懊悩と葛藤も描かれていて、視野は意外と広いと感じました。

お話のキーアイテムは劇中に何度か出てくる「グリーンブック」というよりも「手紙」だったと思います。ドクがトニーの手紙褒めるところ大好き。2人の繋がりを、手紙を通してトニーの妻という第三者視点に持っていくのベタだけど綺麗だった。
ラストはこのカットで終わりか、ってちょっとびっくりしたけど、そのまま優しいエピローグに突入することで綺麗にまとめられていて良かった。

あとこれは個人の好みだけど、トルコ石のような青緑色が凄く好きなので目にも嬉しい映画だった。2人の車の色とかお守りの石とか、タイトルのグリーンに掛けてるのかな?

作品賞と助演男優賞のW受賞を3年間で2回経験したマハーシャラ・アリすごい。トニーを演じたヴィゴ・モーテンセンのお腹の出た粗野な人柄の役作りも、本当にこんな人なんじゃないかっていう説得力があった。
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