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グリーンブックのyumeayuのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
僕は"はぐれ黒人"なんだ

近年のアカデミー作品賞の中でも久々に"面白かった!"と思った作品。
だけど、日本は別として、アメリカを始めとする欧米では賛否両論なんですね。
アカデミー授賞式でもスパイク・リー監督や「ブラックパンサー」の主演チャドウィック・ボーズマンらが不快感をあらわにしたことがニュースになってましたね。
なんでも今作は「白人目線による白人を満足させるための人種差別映画」なんだとか。うむむ。

あまり大きな声では言えないけど、ここのところあらゆる映画でポリコレが云々、マイノリティが云々、LGBTが云々って、正直なところ食傷気味。疲れちゃうよ。
もちろん差別は絶対ダメだし、声なきものが声を上げられる時代になったというのは素晴らしいことだけど、配慮しすぎも違和感だし、あらゆる方面に対してビクビクしなきゃならないのがすごく不自由だと感じます。

確かに今作の舞台となった60年代のアメリカ南部の状況を考えれば、今作で描かれている差別シーンはだいぶマイルドな表現だと思うし、白人と黒人の友情物語なんて、所詮は甘っちょろい現実逃避だという意見も理解できます。

だけどもですよ、今作のように王道で普遍的なハッピーエンド作品のどこがいけないの?
変に説教臭くなくて、それでいてちゃんと考えさせらる部分もあって、なおかつ笑える映画ってやっぱり見てて楽しいじゃん!
もちろん全ての人を満足させる必要はないし、論争もOKだけど、単純に「この映画楽しかったー!」って気持ちを大事にしたい。「ケンタッキー食いてえー」じゃダメ…?

僕はどっちかというと、劇中のトニーと同じように「イタリア人がみんなパスタとピザばかり食ってる」と思われていても大丈夫な価値観なので、何でもかんでも差別と捉えるのはちょっと気が引けます。

そういう意味では、今作をうがった見方をせずに、純粋に笑って泣けるロードムービーとして見ることができるのは、日常的に人種差別に遭遇する機会の少ない僕ら日本人なのかもしれない。

これを日本人の問題意識の低さと捉えるかはまだ別問題ですが…。うーん。
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