TakashiM

グリーンブックのTakashiMのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2
江戸っ子気質イタリアンのトニーと、黒人天才ピアニストであるシャーリーの、実話をもとにした友情ロードムービー。
最初の頃は、トニーもシャーリーもお互いの性格にウンザリ。ギスギスした会話しかなく、些細なことで衝突を繰り返す。
しかし、旅の途中で互いをリスペクトするようになり、徐々に信頼関係と友情が芽生えていくのだが、そんな彼らの仲良しトークは、聞いていてとても心地が良い。

お気楽なトニーに対し、シャーリーは高い意識とは裏腹に、強い孤独も抱えている。
黒人でも白人でも男でもない私は誰なんだ?というシャーリーの悲痛な叫び。トニーには「オレっちの友達さ!!」と応えて、抱きしめてほしかった笑

この物語はもう一つ、人種差別がテーマになっている。
もっと露骨な差別的シーンがあるかと思っていたが、ちょっと違った。
シャーリーは黒人天才ピアニストとして各所で歓迎され、演奏すれば盛大な拍手が沸き起こる。
演奏家として差別は存在しない一方、ステージを降りた日常においては、白人とは明確に「区別」される。
畑仕事や給仕をしているのは全て黒人。
ホテルやレストランは、肌の色により入場制限。
黒人用トイレを、一切悪びれることなく案内するシーン等々。
当時の白人にとって、これは差別ではなく区別であり、恐らく差別意識とは少々ズレた感覚なのでは。
だとすると、露骨な差別よりも、より根深い差別である。

シャーリーは「勇気が人を動かす」という意思で、南部を周るツアーを自ら企画した。
自分の演奏が、黒人差別撤廃に寄与すれば、という高い意識系だとは思うが、観客である白人に対して何か届いていたのか、というと、とてもそうは思えない。

人種差別への所感が増えてしまったが、深堀りする気はありません笑
基本的には、友情系ロードムービーという、大好物のジャンルです。

ちなみにストーリーは、トニーの妻に宛てた手紙を元に描かれたらしい。素敵やん笑
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