ぴよまろ

グリーンブックのぴよまろのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.9
用心棒のイタリア系の主人公が、黒人の天才ピアニストに運転手として雇われ、人種差別が色濃く残るアメリカ南部を旅する物語。1960年代の事実をもとにした作品。

人種差別がモチーフの作品ですが、その差別の歴史が日本人的にはリアルではないので、むしろ男同士の友情もの、それを築いていくロードムービーとして、とても楽しめた作品でした。ガサツだが人情家で家族や仲間が多い主人公トニーと、理知的で冷静、才能を持ち裕福な生活だが、孤独な生活を送るドクの、対比が全編通して描かれ、互いの成長と、社会の変化の兆しがさりげなく描かれたシーンがどれも素敵でした。友情を深めるシーンの象徴的なものが、ケンタッキーのフライドチキンと、トニーの奥さんへの手紙というのが、男同士の友情らしくて、なんともおしゃれ。

トニーとドクのキャラクターがとても魅力的。お腹の出っぱったオッサンなトニーは、言動・行動の一つ一つが面白い。そしてドクは、黒人ゆえに白人社会では排除され、富裕層ゆえに一般の黒人コミュニティにも属することができず、とにかく孤独。だからこそ、最後の演奏で、最上の笑顔を魅せてくれました。

2人の関係の変化が、さりげなく素敵に描かれた、最高の友情ものでした。
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