ひこくろ

カルチェのひこくろのレビュー・感想・評価

カルチェ(2018年製作の映画)
4.1
物語も内容もとても捉えどころがないんだけど、どこか不思議な魅力がある作品だった。

謎の少女と保護者となった中年男の関係は、子育てを思わせて微笑ましい。
ひとつひとつのことを教え、やっていいこととやっていけないことを教え、ともに生活していく。
その様子は、あたかも親子のように見える。

一方で、どこからか来て、どこかへ去っていかなければいけない、という設定が終始、謎めいて背景にある。
エンをはじめ、現れた人たちが何者なのかはわからない。
なぜ、その人たちを地球人(?)たちが面倒を見ているのかも説明されない。
ただ、そういう現実があり、その世界で生きている人たちの物語が続く。
その意味では、とても寓話的だ。

こういう話だと、素人っぽい演技が混じると致命的になる。
でも、この映画ではそこら辺も抜かりがない。
どこかの劇団の人たちなのだろうか、出ている人はみんなしっかり演技ができていて、世界観を一切損ねない。
不思議な世界がリアルにちゃんと映画の中にあり、そのなかで生きる人たちの思いも伝わってくる。

途中から出てくる、花を食べる妊婦のパートが、最初はまったく意味がわからなかったが、無理やりに解釈することはできる。
これは、ちゃんと理屈立てて考えるのではなく、なんとなくで受けとめてもいいのだろう。
監督の考えている世界のかなりの部分は理解できないか、世界観だけは入ってくる。
そういう見方を許される映画だと思う。

まるでうまく言えないけれど、なんか面白かった。
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