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すばらしき世界のkのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2018年製作の映画)
3.5
東放学園映画専門学校の卒業制作として作られた作品だそうで、今作はぴあフィルムフェスティバルにて審査員特別賞と映画ふぁん賞を受賞。

音楽がない静かな映画ながら、その40分に物凄い熱量を感じる。ストーリーと主人公に監督自身とその経験が投影されているから、主人公の心の葛藤と機微が非常に繊細に描かれている。ボートに一人佇む様子は、自身の孤立の象徴として強いメッセージ性を孕んでおり、なおかつ底なし沼という設定がまたうまい。中華料理店での、調理中の音の高まりで感情の盛り上がりを演出しているのも面白い。散髪シーンは、ラストカットと同一ショットで収めたかったのかは分からないが、ラストが少しタイトだったのが気になるところ。

主人公を演じた彼のキレる瞬間の、場の空気を変える演技には驚いた。監督の手腕もあるが、間違いなく役者自身の力でもある。
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