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誰がために憲法はあるのDickのレビュー・感想・評価

誰がために憲法はある(2019年製作の映画)
4.3
同朋大学では、「大学におけるコミュニティシネマ活動」として、2007年から「エツゾウ映画館」と冠する映画上映会を実施している。
場所は、同大学の交流と文化発信の広場「Doプラザ閲蔵」の「ホールDo(定員60名)」、事務局は同大学文学部研究室。
シネマスコーレ元スタッフで、映画プロデューサーの李相美さんがコーディネーターを務め、日本とアジアの映画を不定期に上映し、30分の解説がある。
56回目となる今回(2020.02.23)は井上淳一監督の『誰がために憲法はある(2019日)』、解説は井上監督と李さん。

■2019年キネ旬文化映画ベストテンの8位。

❶マッチング:消化良好。
➋昨年の初公開時、どうしても都合がつかず見逃したので、今回の上映は大変有難かった。同朋大学に感謝。
➌渡辺美佐子が朗読する「日本国憲法前文」は日本国民の名誉であり、誇りであり、バイブルである。この精神を死守することが、日本国民の最優先の義務であり責任である。
本作を観て改めてそう確信した。
❹安倍内閣が、憲法を変えようとしたり、法律の解釈を勝手に変えたりする暴走が、上記前文に違反していることは一目瞭然である。
❺井上淳一解説要旨:
①当初、憲法くん役には仲代達矢さんを考えていた。しかし、仲代さんのスケジュールが一杯だったことと、12分間の朗読のセリフを暗記する自信がないとの理由で渡辺美佐子さんにお願いした。
②本作には、当初、女優と一緒に中学生が朗読シーンが含まれていた。本人と保護者に了解をもらっていたのに、このシーンはカットされてしまった。学校側の「学生に何かあったら、誰が責任をとってくれるのか?」との「脳内リスク」に製作側が忖度したことによる。
③本作には、もう一つの問題がある。被害者の立場のみで、加害者の立場が含まれていないのだ。
④資金の目途がつけば、これを加えた続編を作りたいと思っている。
⑤僕には、メジャーの仕事は廻ってこないので、資金集めが一番の課題(笑)。

●日本国憲法前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
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