華氏119
マイケル・ムーア監督の最新ドキュメンタリー映画。当時のジョージ・W・ブッシュ政権を批判した "華氏911" に続いて、トランプの大統領当選が確定し勝利宣言をした2016年11月9日に由来したタイトルで、トランプ政権前後を題材にした作品です。
冒頭から懐かしい映像が流れます。
絵に描いたような大統領選の逆転劇映像、何故トランプが当選したのか??
その理由が分かりやすく描かれ、重苦しくならない様、笑いも忘れずに散りばめれて編集されているのがこの作品のいいところでしょう。
映像で明かされるアメリカの社会問題と根の深い闇の部分、無力な政治家の存在が深刻さを助長し、政治家への不信から国民の政治への関心が低下する、そうした負の連鎖を断ち切れないアメリカ社会を上手く描いていたと思います。
そして特徴的なのはトランプだけを叩いているだけではなく、オバマやヒラリーも、そして政治に無関心な国民にも矛先を向け、さすがムーアだなと思わせます。
ミシガン州フリントの"汚染水問題"、今の時代の話なのかと疑うほどの悲惨なもので、一見するとトランプとは無関係に思えますが、行政経験のないものに舵取りを任せると恐ろしいことになる、これを"アメリカ"に置き換えると・・警鐘を鳴らしたのでしょう〜考えるだけでゾッとします。
それに輪をかけて、オバマ大統領の最低なパフォーマンス映像には、アメリカ国民でなくてもがっかりします。ムーアは最初から期待していないトランプよりも、実は期待はずれのオバマに一番怒っているのかもしれません。
ラスト、17人の犠牲者の名前を読み上げ追悼する映像にグッとくるものがありますが、2020年に選挙権を持つ彼女たちに一筋の希望を見た気がします。
ある人物の演説映像にトランプのスピーチ音声を被せるのですが、これが全く違和感なく思わず笑ってしまいました😆