けんたろう

ベル・カント とらわれのアリアのけんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ばりっばり、ストックホルム症候群なおはなし。

テロリスト達が今まで知ることのなかった文化や芸術に触れていく、
そんな姿がすごく初々しくて素敵。

彼らは色んなものを通して、人質とのひとときを楽しむ。人質もまたテロリストとのひとときを楽しむ。

僕もこんな映画だったとはなぁと和やかに観ていたが、内心はとても悲しかった。
結末は悲劇だと予想に容易く、そこに着々と向かっているのに幸福度は高まる一方だからだ。
この相反する状況は、結末を知っている歴史ものを観ているときにかなり近い。

こういう時、「こうしてなければ…」とか「こうしてれば…」とたいていはなるもので、今回は政権に立ち向かう手段がテロしかなかったことを悔いやんだ。
僕が悔いたところでどうしようもないのは百も承知な訳だけども。

そしてテロリストを排除した権力者は一躍ヒーローとなり、真実を知るものは生き残った人質のみとなってしまう。
耐えられん、そんな思いを、歌声はほんの少し、あくまでほんの少し、癒してくれるのだった…