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ジョーカーのkoheiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.8
【狂ってるのは僕だけ?】

ハングオーバーシリーズなどを手掛けたトッド・フィリップス監督が名優ホアキン・フェニックスとタッグを組みアメコミ最狂のヴィラン「ジョーカー」を従来のジョーカー像とは違った角度からアプローチをし、そのオリジンとなる物語を制作。

舞台はお馴染みゴッサムシティ、貧富の格差が激しく持たざるものは追いやられ持つものばかりが優遇される腐敗した街。
大道芸人として人々を笑顔にすることを生き甲斐とする中年アーサーは突然笑いだしてしまう神経系の持病を抱えながらも病床の母を支える優しさをもつ。
ある事をきっかけに仕事を失い人生の歯車は狂い出す。
しかしそれはアーサーの中の何かを確実に目覚めさせていた。


あのリヴァー・フェニックスの弟、ホアキン・フェニックス。としか僕は知らなかったのですが、その演技力はさすがのもので、ガリガリに痩せた体型やタバコの吸い方ひとつにもアーサーの精神的抑鬱感を感じ、そこからジョーカーとしての人格に完全覚醒したときの所作の振り幅には爽快感すら覚えました。

これまでのジョーカーはマフィアのボスだったり知能犯だったりでその大きな権力のおまけとして道化としての要素が足されてた程度だった気がしてたんですが、今回のジョーカーは「ジョーク」の部分を大きくキャラクターに取り入れてたのは嬉しかったです。
腕っぷしは強くないけどなぜか人を引き付けてしまう、その内面的魅力にゾッとしてしまう。そんなジョーカーが好きなので今回のホアキン版ジョーカーは良かったです。
バットマンことブルース・ウェインも大きく関わってきたのは嬉しかった。
【ダークナイト】ではバットマンが生まれたせいでジョーカーが生まれたとしていたのが今作はジョーカーが生まれ、そしてバットマンも生まれたとした流れを作ったのは美しいと思います、実際コミックスでも似たようなパターンはありましたね。

アメリカではジョーカーに感化されてしまった人が暴れ出さないようにと劇場で手荷物検査を行うなど、作品が与える精神的影響の凄まじさが話題ですが、僕も観終わったあとは少し鬱っぽくなりました笑
それくらい精神衛生上よろしくないクオリティです。
R-15+指定で高校生でも観れてしまう作品ですがグロテスクでもエロティックでもない、制限がかけられてる理由はそんなものでは収まらない圧倒的精神的影響力。
正直R-18指定でもいいと思います。

この映画を観て恐ろしく感じるのか
ただの小悪党の戯言と笑うのか

世間の評価はハッキリ別れてるようで、それもまたこの映画の面白さですね。
どう感じるかがこの映画の醍醐味、あなたの心の在り方によってこの映画はコメディにもホラーにもなり得ます。

「ジョークを思いついたんだ…でもきっと分からないさ、君には難しすぎるからね…。」
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