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ジョーカーのshinoのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.6
実は見てました。
あまりにもしんどすぎて開始秒でずっと救いを求めていた。
ジョーカーの物語で80年代の話なのに、現代の社会問題描いた作品で、面白いし色々考えこんじゃうのに人には全く勧めることができない作品でした。
日本的に言い換えるのなら、いつもニュースの向こう側でしか認識できない「無敵の人」の誕生をまざまざと見せつけられている気分です。今年はそんなニュースが多かったから余計に苦しくなった。

ホアキン・フェニックスの演技が本当にすごい。すごいが故にずっと辛かった。開始1分で辛くなるとは思わなかった。
アメコミ×社会問題、キャプテンマーベルでも女性差別問題や難民問題といったことを取り上げていましたが、キャプテンマーベルは価値観のアップデート+成長としての弱者に対して背中を押す強いメッセージ性を与えてくれるものでしたが、この映画はそんなことはなく、ただ現実を突きつけられている……キャプテンマーベルは壁を乗り越えて真っ直ぐ気高く歩いて行ったけど、ジョーカーは壁を壊して回ることを選んでしまった。

わたしたちの中にジョーカーはいるのだろうけど、それでもジョーカーとなってしまった瞬間、許されない人になってしまう。境遇はとてもかわいそうで目も当てられなくて帰りに考え込むくらいには落ち込んだけれども、それでも他人に牙を剥いたら駄目で。でも丁寧に落ちていくさまを描かれてしまったので、牙を剥く気持ちになるのがよくわかってしまうから、どうしようもない気持ちでいるしかなかった。
わたしはいつかジョーカーになるかもしれないし、ランドルになるかもしれないし、ペニーになるかもしれないし、トーマスになるかもしれない。それがわからないのがただただ怖い。
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