ろ

カプリコン・1のろのレビュー・感想・評価

カプリコン・1(1977年製作の映画)
5.0

「主人は“作り物なのにまるで本物だ”と何度も言った。“この技術ならどんなウソでも通る”って。」

宇宙船の最終チェックが終了した、打ち上げ3分6秒前。
3人の宇宙飛行士はヘリコプターでどこかへ運ばれていく。
そこにはたくさんの照明に照らし出された“火星”があった。

国家に脅され、信条を曲げてまでつくことになった壮大なウソ。
疑問を抱く技術者やテレビ局の記者を巻き込みながら、カプリコン1は火星に着陸。
しかし、あるハプニングが発生したことで事態は急変する・・・


ビリヤードをしていたはずの友人は忽然と消え、住んでいたはずの部屋には見知らぬ女性。
おかしいなと首をひねりながら車に乗れば、今度はブレーキが利かない。
スピードメーターが刻む数字はぐんぐん上がり、留まることを知らない。
管制室で働いていた友人、そして調査を始めた記者に危険が迫っていた。

自分たちの行く末を悟った宇宙飛行士たちは脱出を試みる。
どこまでも続く砂漠に水を欲して幻覚を見る者、息も絶え絶えに断崖をよじ登る者、そして殺したヘビを食べる者。
そこに現れた農薬散布の一機。
はたして追っ手から逃れることはできるのか・・・。


テレビ局の記者が言う「ホテルのエレベーターで流れる音楽も、厚化粧のウェイトレスもどの町でも同じなんだ。だから今自分がどこにいるかなんて、新聞を読むまで分からない。」というセリフや、セットの脇で呟く「科学の力ってすごいな。はるか宇宙にいるのにピザも注文できる。」という皮肉にとにかく痺れる。

あの手この手で忍び寄る国家にゾッとする、ねっとりとまとわりついて離れないサスペンスフルな一本。とても面白かった、大好きです!
ろ