「ブラックカイザー」と呼ばれ恐れられた殺し屋・ダンカン(マッツ・ミケルセン)は、引退と共に隠居しようと辺境の地へと向かうが、退職金を払うことを惜しんだボスより殺し屋の刺客を差し向けられる…というお話。
ジョン・ウィック的な映画かなと予想していたんだけど、コミック(グラフィックノベル?)が原作らしく、かなり漫画的でデフォルメされたエログロ描写と、妙にすっとぼけたギャグが楽しい快作だった。というか、序盤で犬が…なシーンを見るに、比較されることを分かった上でやってる気もする。
マッツ・ミケルセン演じるダンカンは、冷徹な男なのかと思いきや意外と素直で、何かを提案される→俺はそういうのやらないと断る→次のカットで普通にやってる、という謎のギャグを天丼でかましてくるのが笑える。すっとぼけているだけでなく、フルチンバトルやラブシーン、拷問まで、何かと裸でハッスルしているので、ファンにとったら眼福なのでは。
ダンカンを狙う殺し屋達も、大してバックボーンが語られないのが勿体ないくらいキャラが立っていて、登場シーンの過剰な演出なんかもベタだけど笑った。
監督はMV出身らしくて、やたらめったらガチャガチャ切り替わる画面なんかは確かにそれっぽい。あまり好きなタイプの演出ではないけど、コミック調の本作にはむしろ合っていたように思えた。
『デッドプール』とか『マチェーテ』みたいな、同じようなR指定のバイオレンスアクション+コメディみたいな作品って、冒頭はテンション高めで好き勝手やってるのに物語が進むにつれて右肩下がり的に盛り下がっていくのな残念なケースが多かったんだけど、今作は割と最後までテンションが持続され続けていたので、楽しく観られた。マッツ・ミケルセンという人の魅力もあるかもしれない。
(2019.25)