シネマスナイパーF

アド・アストラのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
-
内省的すぎるというか
変な映画だなと…
いや、予想はしてた
多分想像とは違うだろうという予想、父を追った息子が旅路でコンプレックスを克服する話だろうという予想
そういう意味ではちゃんと想像を裏切ってきたし予想は裏切ってこなかったけど、思った以上に内向きだった


たまにバランスがおかしすぎる
危険地帯入りますよって言われ、意味のわからない言い回しになるけど何事もなくそのまんま襲われるシーンがある
途中までは連れて行くが後は自力で行けって言われ、止まったところの先に↓ココですよ!ココ!と言わんばかりのオブジェクトが出てくる
いやぁ…えぇ?バカ映画なのか?と思ってしまう
というか、予告からは想像つかない範囲として、実はそこそこ先の未来の話っぽいぞってのがジワジワと分かってくる
大真面目なリアル志向のSFかと思ったら先述した世紀末的襲撃シーンが挟み込まれるもんだから困惑
ある意味一番の見せ場が中盤にあるのですが、相手が予想の斜め上だったので、おっこのノリは楽しめそうだな!と思ったのですが残念ながらそこだけでした

記号的だとも思える苦難続きの旅路は、シンプルさを追い求めた結果なのか
抽象的な方が確かに監督の望むような神話的な物語にはなる
実態の見えない大きな中心に向かってひたすら突き進んでいく闇の奥的な話として、はたまた何もないだだっ広い荒野をひとつの目的のためだけに苦悩しながら進んでいく西部劇として、あくまで世界観は徹底的にリアルに作り込んだうえで、類型的なシナリオにしたのかもしれない
あの父の息子として生きる使命すなわち呪い、その父が抱える使命すなわち呪い、あの父を追うことが父の歩んだ道を歩むことになってしまうという呪い
果てしなく先だけを見つめた男、さらにその男を見つめていた男
闇に向かうことで光を掴み、主人公が人間になる話


IMAXで公開しているのでIMAXで観るべきなのは確か
ただ、いわゆる超大作的な映画ではない
どちらかというと面白い映画ではない
地味で陰湿な映画
褒めてますよ