橘

暗数殺人の橘のネタバレレビュー・内容・結末

暗数殺人(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

派手さは無くてもちゃんと面白いので韓流クライムは質が高いな。。
堅実に捜査していく刑事さんも、韓国には居るんですね。キム刑事と、協力してくれるチョ刑事、良かった。

「遺体がない殺人事件」と呼ばれている実際の事件がモチーフだそう。
暗数……完全犯罪とは「そもそも事件にならない」だそうなので、重苦しい気持ちになります。失踪で片付けられてる人たちの中にもどれだけ犯罪に巻き込まれてる人が居るんだろう。
執念を持ち続けて、捜査に当たってくれる警察さんたちには頭が下がります。韓流クライム作品の刑事さんたち、そこで止めるなよ…と思うこと多々なので余計にこの作品の刑事さんの株が上がる。(情念みたいな「恨」を持ちつつ、それにしては捜査上の諦めが早くないか、と思うことしばしば)

刑事さんがキレないのは「間違ってても私がピエロになるだけ」という覚悟があったから。被害者のきもちを思うと…という証人席での言葉も良かったです。
犯人は刑事さん怒らせて不利にさせようとしてたかもしれないけど、その手には乗らない。犯人も失言しない、言う事はコントロールしている。
犯人と刑事さんの心理戦。静かに火花散らしてた…しみじみ本編を味わった後に、ED前に挟まれる実際の事件の顛末が苦いです。






(モデルの事件についてググって、一緒に検索されてきた「華城連続殺人事件」の記事も読んでたら、冤罪で30年近く収監されてた方がいたのを知りました。『殺人の追憶』で犯人にされそうだった青年みたいな人物(障害があり、身寄りがない等)で、あの映画の時点では冤罪って分かってなかったのに恐ろしいなと思った次第です。びびった。ポン・ジュノ監督どうなっとるんや……)
橘