ジャン黒糖

クワイエット・プレイス 破られた沈黙のジャン黒糖のレビュー・感想・評価

3.7
前作を観終わってそのまま立て続けに鑑賞!
物語はDay 473からDay 474に突入!

【物語】
前作で描かれた壮絶な悲劇の翌日、イブリンたちアボット一家は生まれたばかりの赤子を連れて新しい避難場所を求めて町を離れるが、その矢先、また”あいつら”の襲撃を受ける。
逃げ込んだ廃工場では旧知の生存者エメットに遭遇し、アボット一家の知らなかったこれまでの”外の世界”について知らされる…。

【感想】
前作の低予算ぶりから比較すると予算も増えたのかな。
その分、より間口の広い作品となった影響か、前作に比べると緊張感が抜けてしまったのが正直な感想。

たとえば冒頭、ここから描くか!とワクワク、いよいよ"あいつら"が襲ってきてドキドキしたのも束の間。
あれ、、前作の衝撃を超えない…。
血が出ればいい話でもないが、ただ吹き飛ばされるだけだと凡庸な大衆向けモンスターパニックものに見えてしまい妙に緊張しない。
(ただ、空を流れるアレとか町に徐々に流れる不穏な雰囲気とか、物語が始まるワクワク感は本当たまらなかった!あと、”あの頃”の化粧ばっちりのエミリー・ブラント、やっぱめちゃくちゃ美人!!!!!)

また、前作でも曖昧だった"あいつら"にバレるかどうかの音の境目は今回さらに曖昧で、たとえばシーンとしたなか、急に横からバタバタ!と鳥が飛び立つ場面。
パニック映画、ホラーとしてはお決まりのあるあるではあるのだけど、本シリーズにおいてはそんな音が聞こえたらもっとすぐに"あいつら"は畳み掛けるように襲ってくるはず。
ところがここではやってこず、そのあとのハプニングでやってくる。
音を立てたら即死だったはず…。

というように、前作でハラハラした身からすると”あいつら”の存在が怖くなくなってしまって、これはちょっとガッカリ。

ただ、前作同様オープニングタイトルが出るタイミングといい、エンドクレジットの入り方といい、相変わらず最初と最後のアガり方がこのシリーズはたまんない!
今回も、前作の文字通り続き、DAY 474から始まるわかりやすさ(その反面、子役の成長による違和感は否めず…)、気持ちいいスタート!
また、ラストも前作はエミリー・ブラント演じるイブリンが銃を構えるカッコ良さに痺れて終わったけど、今回は子供たち!
ぶっちゃけ本作の主人公は娘だった!
(もちろん、今回も右手に赤ちゃん、左手に拳銃を携える戦う母イヴリンはカッコ良かった!!エミリー・ブラント、こんな美人だった?!夫が監督だから!?)

また、色々な伏線が1点に集約される気持ちよさも前作に引き続き、これは監督の持ち味といっていいのでは。
前作では息子マーカスの勇気ある成長、イヴリンの出産、家出したリーガンの帰宅など、様々な要素を”あいつら”を錯乱させるための「大きな音」の1点に集約させる伏線回収が見事だった。
本作はあるメディアから放送される、とある”音”が遠く離れた子供たちの勇気を繋ぎ合わせ、それは家族の結束をも意味する。いやー、2作続けて観るとやっぱ気持ちいい!!

というように、ツッコミ所が前作以上に悪目立ちした一方、監督の持ち味、シリーズの良い所も際立った、これは見事な続編といっていいでしょう。

ただ、個人的には赤ちゃんの名前そろそろ付けたれや、とか産後翌日にお母さんがそんな動ける訳ないやん、という赤ちゃんをめぐる描写の雑さが前作に引き続き解消されていないのはわりと小さくないガッカリポイント。
このシリーズが絶えず家族愛を描いてきているにも関わらず、一番ケアしなければならない赤ちゃんが1作目に続いて2作目になってもあまり描かれないので、前作同様、結局は音を出したら即死のこの世界で、否応なしに音を出してしまう存在以外に赤ちゃんが役割としてあまり機能していないように思える。

3作目はジョン・クラシンスキー監督の手を離れて別の監督が撮るとのことで、個人的にはミラ・ジョボヴィッチ主演×ポール・W・S・アンダーソン監督の夫婦コンビなみに作品を重ねるごとに微妙な味わいの広がるアトラクション映画へと進化していくことを期待?不安視?していたので、次回作がどうなることやら…笑
ジャン黒糖

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