焦げすーも

蜜蜂と遠雷の焦げすーものレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.8
音を聴く映画と見せかけて、登場人物間の表情に表された感情を見せつけられる映画だった。

マー君(森崎ウィン)に向けられたマエストロの眼差しが、演奏前と演奏中で全く違ったことが印象に残った。演奏中の眼差しは、若き才能を引き上げる役目を進んで背負った指揮者が、それに応えようとしているピアニストにエールを贈るかのようだった。ダメな邦画はここで審査員に視点が移り、過剰な台詞が入るのだが、そういうシーンがなかったので合格。

塵くんと亜夜の連弾、亜夜とマー君の2人演奏、亜夜の母と亜夜の連弾の流れは映像的に見事だった。孤高の存在に描かれがちなピアニストだが、互いに影響を与えあって高みを目指す姿勢が尊く感じられた。
水筒のくだりや、衣装係の片桐はいりの仕草も、想像力を掻き立てられgood。

もったいないと感じたのは、松坂桃李が演じたピアニストが、途中から凡人視点に成り下がってしまいキャラとして目立たなくなってしまったこと。庶民にもわかるピアノという視座の掘り下げが甘かったか。
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