GUMI

僕たちは希望という名の列車に乗ったのGUMIのレビュー・感想・評価

4.0
今にして考えれば小さな正義感での行為
責任を取るってこういうことを言うのか…


ベルリンの壁ができる5年前。ソ連影響下にあった東ドイツの進学クラスに通う高校生たちは各々の家庭事情を抱えながらも大学進学に向けて共に勉学に励む。
クラスの中心格のテオとクルトは西ドイツの映画館にしばしば潜り込んでは思春期ならではの好奇心を充たすが、ある日 映画でのニュースにて 反社会主義を訴えての民衆蜂起がハンガリーで発生し、多くの若者が犠牲になったことを知る。
同世代の犠牲者たちに共感し、その犠牲に黙祷しようとクラスメイトに呼び掛け実行したことが大人たちに明るみになり…


原題、ドイツ語は読めませんが英題「静かな革命」か。
彼·彼女らの目くばせ一つで物事が動いてゆくストーリー展開は緊張感に溢れ、目が離せない。

第二次世界大戦後 間もない当時、家族にも明かせない戦場での秘密を抱えて暮らす人は周囲にごまんといたんだろう。
未来ある青年たちが自力では如何ともし難いことで大人たちに「黙祷の首謀者を吐け」と迫られる場面は気の毒でやるせない。
彼らの心の拠り所として揺るぎなく信じていたものが自白のための道具にされてしまう…とても生きてゆけない惨さ。

進学クラスに属し、将来を有望視されるが故に大人たちから「正しく」生きるよう矯正され、早くに大人になるしかなかった彼等の選択。
それぞれの正義を貫いて自分に嘘をつかない彼等の生き方は、情勢が良いとは言えない今だからこそ深く響くものがある。
原作を知らないのでその後が前向きであってほしいと願うばかり…
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